伝えたかった、感謝の気持ち。ともに戦った「9」と「15」へ|川越東×城西川越|第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選 準々決勝

60mins ~川越東~

後半、少し攻めあぐねる展開が続くと、ボールを持って走り抜けたのは15番・土居泰介キャプテン。

困った時、頼りになるのはやはりスーパーエースのキャプテンだった。

川越東が初めて花園に出場した2年前、14番として1年生で唯一スタメンを担った土居選手。

花園の土を踏んだ経験を持つ土居選手ですら、この日は緊張したという。

なぜならば、高校生活初めて経験する制限なしでの有観客試合。

この3年間、川越東として多くの観客の前でプレーすることは、一度もなかった。

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初めて公式戦で試した布陣もあった。

これまでスタンドオフを担ってきた西ヶ谷昂バイスキャプテンを、14番として起用。

スタンドオフの目を持ちながら力強くエッヂを駆け上がる姿は、新たな攻撃のオプションとして功を奏し2トライをもたらした。

それでも、誰の顔にも満足した表情は浮かばない。

「この先は、自分たちができる最大限のプレーをしていかないと勝てない。これまで積み上げてきたものに、更につけ加えていきたい。(土居キャプテン)」

目線は、常に花園を見据える。

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最後のノーサイド ~城西川越~

1年次から9番を背負い、今年度はキャプテンとしてチームを牽引した堀越敬太選手。

しかし、準々決勝の舞台となった熊谷ラグビー場Aグラウンドに、その姿はなかった。

「彼はいま、家から出られなくて。」

並木大典監督は、声を詰まらせた。

城西川越の選手たちの手や足に巻かれたテーピングには『9』と『15』の数字が並んだ。

9は、スクラムハーフの堀越敬太キャプテンを。

15は、フルバックの大塚蒼空選手を表す。

「彼がいなくても、このチームは彼とともにあるんだ。」

だから、いつも通りの城西川越のラグビーをしよう。いつもの城西川越の戦術で戦おう。

そう決めて、準々決勝に挑んだ。


堀越キャプテンは19番として、大塚選手は25番として試合に登録された

ハーフタイムにはTVで観戦をしている堀越キャプテンと電話を繋ぎ、フィードバックをもらった。

後半の戦い方を、ともに話し合った。

前半に1本、後半にも1本取ったトライには、間違いなくチームの気持ちが込められていた。

しかし相手は春の王者・川越東。

7トライを許し、堀越組の終わりを告げる笛が吹かれた。

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試合後に設けられたインタビューエリアには、チームで一番身長が高く、ガタイの良い選手が待っていた。

5番の大久保侑選手。

聞けば「どうしても話したいことがあるので、インタビューをお願いしてもいいでしょうか」という。

もちろんです、と答えると、涙ながらに話し出した。

「僕は高校からラグビーを始めて。今日ここにはいない9番のキャプテンと15番の大塚蒼空に、いつもラグビーを教えてもらいました。

良い先輩と、良い同級生と、良い後輩に恵まれて、今日この舞台に立つことができました。

チームメイトには、本当に感謝しかありません。」

大久保選手が「どうしても話したい」というその内容は、仲間への感謝の気持ちだった。

中学まではサッカー部。高校でもサッカーを続ける予定だったが、並木監督に誘われボールを楕円球に持ち替えた。

入部当初の体重は65㎏。今では、95㎏までになった。

ラグビーを教えてくれる仲間がいなければ、30㎏もの体重を増やす努力はできなかった。

だから、ありがとうを伝えたい。

涙ながらに話すその想いは、仲間との密度の濃い3年間を容易に連想させた。

ここまではキャプテンが連れてきてくれた。だから、次は僕たちでバトンを繋ごう。

そう心に決め、挑んだ城西川越の挑戦。

バトンは、この景色を見た後輩たちへと受け継がれた。

 

↓試合後のインタビュー動画はこちらから↓

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