「悔しいでは表せない想い」國栃、3回戦で花園を去る。仰星は勝利し涙「このピッチに立つことのできない仲間がいたから」|東海大大阪仰星×國學院栃木|第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会 3回戦

60分の物語

東海大大阪仰星:サックス紺白ジャージ(2nd)、國學院栃木:紫ジャージ(2nd)

東海大大阪仰星

No.8藤原蒼士選手は試合後、はばかることなく涙を見せた。

「大会が始まる直前の12月、メンバー選考を兼ねた練習がありました。このピッチに立つことのできない仲間が研究してくれて、応援もしてくれて。だからこそ今日勝つことができたんだ、と込み上げてくるものがありました。」

仲間からは「泣くな、早い」と声も掛かったが、それほどまでにこの一戦に懸ける想いは、涙として表れた。

「國學院栃木さんはディフェンスが強みで、僕たちがどれだけ前に出ようとしても、停滞する状況がしんどかった。でもそこで仲間たちが僕のミスをカバーしてくれて、トライを取ることができた。FWの刺さり方を試合中に少しずつ変えていったことで、後半徐々に前に出られる状況が生み出せ、流れに乗っていけた。良いゲームができたなと思います。(藤原選手)」

修正力の仰星らしい勝ち方だった。
ゲームメーカーのSO西川康士郎選手も試合後、安堵の表情を見せた。
「今日はディフェンス勝負。FWが前で頑張ってくれて、なんとか1トライでしのぐことができた。
前半最初のタッチキックで僕のミスがあり、もう一回自陣から、という状況を作ってしまった。でも、これは花園3回戦。相手も相手。自分たちから苦しむ必要なはい、と気持ちを切り替えました。」
プレッシャー下における乗り越え方を、理解し挑んだ大一番だった。
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4点のビハインドで迎えたハーフタイム、湯浅大智監督からは「スコア的には全然OK」という言葉が伝えられた。
だから風上に変わる後半、「3点でもいいからワンスコアずつ積み重ねていこう」と10番・西川選手も仲間に伝える。
逆転のトライは、後半10分。
ボールを動かしたら、たまたま相手の足が外を向いた。そこを見逃さず、8番・藤原選手がボールを一気に押し込む。
後半19分には敵陣5mで得たペナルティチャンスに、3番・石原捷聖選手がタップキックでスタートを切ると、細かくボールを繋ぎ、最後は10番・西川選手がグラウンディングした。
15-7。
8点のリードを得ると、猛攻を仕掛ける國學院栃木のアタックを懐深く迎え撃つ。
湯浅監督からも「思いっきりいけ!」と声が飛んだ。
ディフェンスで前に出ながら、再び僅かなチャンスを掴み切ったのは後半30分。
敵陣深くでのラックからボールを持ちだしたのは、1年生CTB吉田琉生選手。ダメ押しとなるトライを決めた。
ベンチから見守ったマネージャーも、抱き合って喜ぶ。
東海大大阪仰星の掲げる『オールオプション』が実を結んだ結果に、「驚くようなことはないです」とこれまでの積み重ねに充実の表情を見せた西川選手。
抽選の結果、準々決勝の相手は今季2冠の報徳学園に決まった。
ディフェンディングチャンピオンとして、目指すは連覇ただ一つ。
昨年度優勝ジャージを、誇り高き連覇のジャージに。
大会中、最もタフな対戦カードが続く東海大大阪仰星だが、その度に肥やしにする文化は今年も続いていく。
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