新たな形を見せた大阪桐蔭「胸を張っていい」。京都成章は2大会ぶりのベスト4へ|大阪桐蔭×京都成章|第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会 準々決勝

60分の物語

大阪桐蔭:白ジャージ、京都成章:青黄ジャージ

大阪桐蔭

激しくぶつかり、緊張感のある試合展開が続いた序盤。

先制のスコアを奪ったのは、大阪桐蔭だった。

前半11分、ラックからボールを出すと右に展開。

9番・須田龍之介選手から6番・新井瑛大選手、10番・上田倭楓選手、12番・上田倭士共同キャプテンへと繋ぎ、最後は11番・福永然選手が力強いキャリーで相手DFに掴まれながらも、トライへ持ち込んだ。

好プレーも目立った。

6番・新井選手のタックル。

10番・上田選手の裏に蹴り上げたキックで大きくエリアを前進させれば、ラインアウトをクリーンキャッチし4番・神野康生選手がこれまたキレイにラインブレイクした。

だが2つのトライと1つのコンバージョンゴール、1つのPGで逆転を許すと、後半5分には10点のビハインドに。

追いかける苦しい展開にも、大阪桐蔭陣からは力強い言葉が飛び続けた。

スクラムでペナルティを取られた時には「FWのミスや!取り返すぞ!」と掛けた5番・中村翔太選手。

共同主将の12番・上田選手からも「桐蔭、ここやぞここ!」と鼓舞する声が響く。


トライを取られると、真っ先に手を広げ、仲間を呼び寄せ口火を切った12番・上田共同キャプテン

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すると後半15分、チャンスは訪れる。

ラックから右に展開すると、ライン際でキックパスを蹴ったのは7番・松岡風翔キャプテン。12番・上田共同キャプテンが拾い上げ、9番・須田選手がそのままゴール中央に走り込んでグラウンディングした。

3回戦に続き、足技でトライを演出した松岡キャプテン。

「パスが放れないことは分かっていた。足で蹴るしかない、裏に蹴れば内側に共同主将の12番・上田倭士が走り込んでいるのが分かっていた。」

だからキックという判断になった、と話す。

だが、届かなかったあと3点。

僅か1つのペナルティゴール差に泣いた。

「京都成章さんの方が我慢強かったのだと思います。」

ペナルティ数は京都成章の方が3つ多いが、その時間帯とエリア、様々な要素が『我慢強さ』として表現された。

チームを率いた松岡風翔キャプテンは、ノーサイドの笛を聞くと、膝を落とす仲間に駆け寄り、抱き寄せた。

毅然とした態度で14人を整列させながら、仲間の方を向き声を掛ける。

「下を向くような試合じゃなかった。だから、胸を張っていい。負けた責任は、キャプテンである自分が取る。」

みんなは良いプレーしてくれました、と、どこまでも主将で在り続けた。

だからこそ、続く世代に願うことはただ一つ。

「この舞台を経験できた後輩は多くいる。来年こそは強い大阪桐蔭を。」


インタビューを終えると、ともに出席していた11番・福永選手と笑顔で握手を交わしてからロッカーへ戻った松岡主将。目は赤かったが、涙は一切見せなかった。

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