僕らは、プレッシャーと歩く。帝京大学ラグビー部の春、ルーキー融合の春。

「あのプレッシャーの中で、俺たちは勝ち進んでいかないといけない」

第14回関東大学春季交流大会Aグループ 第6節・東洋大学戦を終えた直後。

帝京大学ラグビー部の部員全員がスタジアム脇に集まる中、キャプテン・大町佳生選手が放ったその一言には、重みと決意があった。

プレッシャー。

言葉にするのは簡単だが、その渦中に身を置き続ける者でなければ、本当の意味での「重さ」は分からない。

大学選手権4連覇中。

数多くの日本代表選手を輩出する名門。

全国から集まる高校スター選手たち。だがその内実には、4年目にして初めてファーストジャージーに袖を通す選手もいる。

帝京大学ラグビー部を形づくるのは、「勝者」の看板だけではない。

それぞれの立場で、それぞれのプレッシャーと向き合い続けている選手たちの、複雑な感情が交錯する空間なのだ。

大町キャプテンは言う。

「プレッシャーは、対戦相手だけからくるものではありません。応援に会場の雰囲気、レフリング。自分たちがアウェーな環境の中で、どう自分たちにフォーカスして戦えるかがすごく大事です」

そして「これ以上のプレッシャーが、これから先もっと強い相手と戦っていく中であると思う。だから自分たちは、どれだけそれに打ち勝てるか。自分たち自身にしっかりフォーカスを当てて、勝つところまで行けるかがすごく大事になると思う。だから、そういう話をみんなにしました」と締めくくった。

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この日の試合テーマは、「フィジカルで勝つこと」。

序盤は東洋大学の勢いに苦しむ場面もあったが、前半の終盤から後半序盤にかけて、帝京のアタックは一気に輝きを増した。

「前半最後の20分、後半の最初の10分は、自分たちらしいアタックができた。うまくいかなかった部分を修正できたと思います」

はやくも春季大会から、多くのルーキーがメンバー入りしている帝京大学ラグビー部。

学年を超えた融合が求められるからこそ「どれだけ1年生たちをのびのびとプレーさせられるか」にも注力する。

「1年生たちには自分のプレーにしっかり集中してもらえるよう、ゲームコントロールのところやマインドを、僕たちリーダー陣がアプローチしていかないといけない。フレッシュな選手がたくさんいる中で、彼らがしっかりプレーに集中できるようにすることが僕の役割かなと思っています」

それは、自らが『かつてのルーキー』だった経験にも由来する。

「僕が1年生の時は、(高本)幹也さん(現・東京サントリーサンゴリアス)をはじめとするゲームを作るメンバー、リーダーたちがすごく支えてくれました。だから僕らは、次は恩を送り返さないといけない」

自分が受け取った想いを、次の世代へと手渡すこと。

勝ち続けることの裏側にある、その『継承』こそが、帝京大学ラグビー部の真の『伝統』なのかもしれない。

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