6月8日(日)に栃木県佐野市で行われた、令和7年度 第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会 最終日。
埼玉県勢は4校が出場し、Bブロックを戦う昌平は35-12で明和県央に勝利し3位。
またCブロックの川越東は東海大相模に17-48で、Dブロックの熊谷工業は7-50で早稲田実業に敗れ、それぞれ準優勝。
これが関東大会初出場となった本庄第一は、Eブロック決勝戦で東洋大牛久を34-0と退け、見事ブロック優勝を飾った。
昌平
山梨学院との初戦に21-45で敗れた昌平。課題は、アタックが続かないことにあった。
だから大会2日目の明和県央戦では「自分たちのカラー」(船戸彰監督)を意識してグラウンドに立つ。
「これまでに培った昌平らしさ」を発揮すべく、50分間の戦いへと挑んだ。
昌平ボールでキックオフを迎えると、序盤から勢いを引き寄せることに成功する。
12番・玉川皓登選手のキックチェイスから敵陣深くでペナルティを獲得。ラインアウトモールを組んだ後に展開し、小刻みにボールを動かせば、最後は10番・神山暖武選手がギャップに走り込んでトライ。
前半7分、7点を先制した。
その後も接点で前に出て、球際の強さを武器に戦った昌平。カウンターラックから生まれたチャンスも、多かった。
だが、ゆえにブレイクダウンではチャレンジしすぎたペナルティも発生。
前半25分にはゴール前での反則から、失点を喫する。7-5と、昌平がわずか2点のリードで折り返した。
後半は開始早々、スコアが動いた。
後半5分、スクラムからのエイタンでNo.8但木陽選手が持ち出し、11番・堀内久真選手に託すと、左サイドを駆け上がる。トライライン目前でふたたびNo.8に戻し、最後はオフサイドのアドバンテージを得ながら機を伺えば15番・宮本和弥選手が縦をついてトライ。
その後もトランジションで優位に立った昌平がモールトライ、キックチャージからのトライなどでリードを広げれば、35-12。
関東大会Bブロックを1勝1敗の3位で終えた。
遡ること5か月前。
新チームが始動し、最初に行った練習試合の相手が明和県央だった。
その時は東京高校との三つ巴だったため、30分しか対戦していないというが、1月の時点では昌平が敗戦。
それが半年経ったこの日は、トリプルスコアをつけての勝利となった。
率いる船戸彰監督は言う。
「今日は15人が同じ想いでプレーできていたと思います。関東新人の頃(2月中旬)に比べても、すごく成長している。選手たちの成長幅は、(船戸監督が昌平で指導した11年間で)今年が一番」と自信を持った。
手応えは、気持ちとプレーの連動にも表れた。
1回戦を戦い終えた夜のこと。
船戸監督は、登録メンバー25人に対し「ジャージーをもらっていない選手たちの気持ち」を問いかける。
ジャージーをもらう、ということ。
昌平のファーストジャージーを着る、ということ。
同じように練習に取り組んできた仲間の中には、ジャージーを着られない選手もいる、ということ。
「責任や覚悟が、少しずつプレーに表れてきたと思います」
昨季、埼玉県内4冠を達成したメンバーから大きく入れ替わっている「経験値の少ない、若いチーム」だからこそ、必要なステップを踏んだ。
一方、これからのことに目を向ければ、課題は”予測”にある。
プレーしかり、仲間の気持ちしかり。
隣に立つ人の気持ちや、ボールの軌道を先回りし考えた『気の利いたプレー』ができるようになれば、チームは次のステップへと進めるだろう。
「やればやっただけ、ちゃんと『やろうとする』選手たち。落とし込んだものを、ちゃんとできるチームです。まだ伸びるし、まだ伸ばせる。関東大会での成功体験を、どうモノにするかが大事」と船戸監督。
素直さが、歯車の原動力となるか。
