10月25日(土)、26日(日)に埼玉県熊谷市・熊谷スポーツ文化公園熊谷ラグビー場で行われた第8回全国U18女子セブンズラグビーフットボール大会。
ARUKAS YOUTH KUMAGAYAのメンバーにとって、1年間の集大成を表した2日間。
全体順位11位で大会を終えた選手たちは、この1年、何を感じ、何を掴んだのか。その答えを、菅原悠佑監督と山田清楽キャプテンの言葉から紐解いていく。
苦しみの先に見えた、手応えと誇り
「ここ数年、試合での淡白な負けが増えてきていたんです。それがすごく失礼なことだと感じました」と語るのは、菅原悠佑監督。
点差をつけられた時の姿勢、諦めてしまう場面に悔しさを感じていた。
「支えてくれている人たちに対して、申し訳ないと思った」と振り返る監督は、今年の夏合宿で選手たちを限界まで追い込む決断をする。
夏、菅平高原で行われたセブンズの大会時には、試合間であってもランメニューを課した。
走り込むこと、練習の密度を高めること、基礎を徹底すること。まさしく異例の日々を送った。
「怪我のリスクギリギリまで追い込んで、勝負をかけたつもりでした」と話す言葉からは、選手たちに対する責任感がにじむ。
だが、その厳しい夏があったからこそ、選手たちは変わった。

キャプテンが見た、チームの変化
全国大会を迎える前、山田清楽キャプテンは仲間にこう声をかけた。
「めっちゃ良くなってきてる。もう、あとは試合でやるだけだよ」
その言葉通り、初戦の佐賀工業戦ではチームの動きが噛み合い、序盤から完璧な入りを見せた。だが、結果は願ったものとはならない。
10-21。
優勝を目指したが、コンソレーショントーナメントに回ることが決定した。
「できたこともあって嬉しかった。でも、やっぱり望んでた結果じゃない。悔しいです」
大粒の涙を流しながら語った山田キャプテン。それでも、選手たちは確実に成長していた。

「任せたら、やってくれる」監督の確信
この1年、菅原監督は選手たちに任せ、信じ、見守る姿勢を貫いた。
監督にとっても学びは多かった。
「最初は不安もありました。でも、任せたら任せたで、これだけやってくれるんだと分かった」
チーム作りの核となったのは「ファーストアタック」。ラグビーだけではなく、食事や休養、全てにおいて「先手を取る」意識を徹底した。
「やりたいと思ったことを先にやれ。疑う前にやれ」と選手たちに伝え続けた1年間。選手たちはその教えを実践し、佐賀工業戦の試合の入りではその姿勢が顕著に表れた。

後輩たちへ託すもの
「とにかく、練習を全力で楽しんで頑張ってほしい」
山田キャプテンは後輩たちに、そんな思いを託した。
1年目は何もできなかった自分が、3年目にはチームを牽引する存在になっていたことも、ロールモデルにして欲しいと願う。
「1年生の時は3年生が強くて、自分はボールを受け取っていただけで良かった。でも、そこから自分が走らなきゃと意識が変わりました」
意識の積み重ねがチームの土台となり、全国の舞台へとつながった。
最後のホイッスルまでファイトし続ける姿勢、先手を取るという信念を貫いた行動、そして、仲間を信じ抜いた絆の深さ。
今、そのバトンを後輩たちへと託す。
「本当に、かっこよかった。みんな良い顔をしてたし、全力を出し切った。この子たちの姿に心が震えました」
グラウンド上で見せた選手たちのファイティングスピリットに、菅原監督は何度も「かっこよかった」と語った。

11位決定戦でのラストトライ後、選手たちは観客席に向かって笑顔を見せた
