1回戦 天理高等学校v秋田県立秋田工業高等学校
面白いスクラムハーフがいた。
秋田工業9番、柴田竜成選手。キャプテンだ。
ラックに頭を突っ込み、幾度もノーハーフの状態を作る。
しかし決して慌てるでもなく、落ち着いて体を起こすと次のポイントではしばらく、足元でボールをコントロールした。
そして相手のディフェンスラインを確認し、判断した次のプレーはボックスキックだった。
ポイントに寄りながら手でフォワードを素早く移動させたかと思いきや、スクラムからショートサイドに放った受け取り手のウイングには「上がり遅いって」と機敏な動きを求める。
「ラックに入るのは、人がいないので。ボールを継続するためには、人がいないから入るしかない」と言葉を紡ぐ。「練習が短い中でも、質を高めていくしかない。言い訳にならないです」と決して昨今の特殊な環境下を言い訳にすることはなかった。
アグレッシブなプレーと、落ち着いた球捌き。ピンチの場面には、自らタックルに飛んだ。
「目標のスクラムハーフ像は、南アフリカのデクラーク選手。攻守にわたって目指す存在です。」
後半30分過ぎまでノートライ。だがロスタイムで、2本トライを決めた秋田工業。
「最後はバックス勝負。トライを取り切れたのは良かったです。」
2本目のトライは、タックルを受けながらも10番・桜庭侑大選手にオフロードパスを放ってトライをアシストした。
悔しい1回戦敗戦。だが、目指すは冬の頂。「アキコウは伝統校なので、花園優勝に向けて精進していきます。」
キャプテンとして、どんなチームを作り上げるのだろうか。9ヵ月後に再び、花園で会いたい。
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