2度同じ相手には負けられない。「俺らの分まで勝ってくれ」奮起した東福岡がリベンジ。京都成章は気持ちのタックルも1歩及ばず|第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会|準々決勝 東福岡×京都成章

60分の物語

東福岡:モスグリーンジャージ、京都成章:青黄ジャージ

東福岡

京都成章は、昨年準決勝で敗れた相手。
試合前には、一つ上の代からも連絡がきた。「俺らの分まで勝ってくれ」
「この地でかなり悔しい思いをしたので『2度同じ相手には負けられないよね』と特に昨年の試合に出ていたスタメンの4人は強い思いで試合に挑みました。(SO楢本幹志朗選手)」
東福岡としては2試合連続で試合開始1分の被トライ。
「準備してきたプレーを僕たちがさせてしまっている」とはSO楢本選手。
相手の勢いは感じた。でも、まだまだいける。
混沌とした状況でノットリリースザボールを獲得すると、8番・茨木颯選手はふうっと一つ、空に向かって息を吐き出した。
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敵の主将は言う。
「東福岡は1本取られたら2本取る、2本取られたら3本取る、僕らとは真逆の文化を持ったチーム。」
取られたら取り返す。それが東福岡だ。
ギリギリのスペースで11番・遠藤亮真選手が走れば、10番・楢本選手の大外への飛ばしパス。
針の穴を縫うような精密なアタックで陣地を進める、ヒガシのラグビー。
前半9分、最後はアドバンテージを持ちながら10番・楢本選手の飛ばしパスに反応した15番・石原幹士選手がトライ。
まずは1本、返した。
いくつものフェーズを重ねながら奪ったトライに、6番・八尋祥吾キャプテンは「フォワードの心の勝ち負けの部分。相手の心から攻めていくことを意識した」と言う。
2本目のトライは前半19分。
ラインアウトモールからフォワード戦に移り、押し込んだのは5番・舛尾緑選手。
バックスから掛かった「FW行け!」の声とともに、2トライ目を決めた。
しかし後半12分、京都成章に2つ目のトライを許す。勢いにだけは、乗らせたくない。
ここを抜けられたら終わり、というトリッキーなパスに反応し1番・森仁之輔選手がジャッカルを決めると、キャプテンの八尋祥吾選手は思いっきり頭を抱き寄せた。
「こういう展開になることは予想していた。よく我慢してくれた。(藤田監督)」
16点差が開いた後半28分から、ロスタイムに許した2トライ。
準決勝に駒を進めはしたが、選手たちに笑顔はなかった。
「京都成章さんの素晴らしいアタックに何度も苦しめられた。良かったことは、勝って準決勝に行けたこと」と、冷静に振り返る。
「次戦以降は、最初に一本取られている余裕などない。試合の最初から自分たちのペースを掴めるよう、修正していきたい。(楢本選手)」
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八尋キャプテンも、まだ満足のいく試合は一試合も出来ていないと言う。
「1点も取られなかったら、負けることはない。ボールを持っていない時に高いレベルで働いたチームが勝つ、と思っている。」
準決勝の相手は、昨年準々決勝でロスタイム18分の死闘を演じ抽選へともつれた東海大仰星。
藤田監督は「花園での定期戦」と表現した。
「今大会の先頭を走っているチーム。(藤田監督)」だからこそ「全力で立ち向かいたい。(八尋キャプテン)」
春の選抜では勝利し、夏のセブンズでは敗れ、直後の菅平合宿ではリベンジを果たした相手との一戦や如何に。
1月5日 12時45分、いよいよ花園の舞台で1年越しの決着を着ける幕が開ける。

タックルを受けながら周囲の状況を確認し、オフロードを放るべきかラックを作るべきか判断する姿も伺えた楢本選手
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