大東文化大学
両チームともに1勝3敗で迎えたこの試合。
大学選手権への出場枠3枠に食い込むため、負けられない一戦はまさしく前半から死闘だった。
先制のトライは日大。先に7点を許したが、今度は大東文化がスクラムからのエイタンで.リサラ・フィナウ選手が押し込み2点差まで戻す。
そこからの10分間、前半20分から30分の間は、互いの意地が最もぶつかり合った時間だった。
多くの選手たちが肩を上下に揺らすほど、大東文化は粘り強いディフェンスを見せる。
グラウンドの横幅いっぱいに振りながら攻撃を続ける日大に対し、FWは休まず走り込んだ。
タッチライン際で抜けられそうな場面を仕留めるは、両ウイング。
特に14番・伊藤和樹選手(1年生)は170cm/75kgと小柄ながら、日大のパワフルなバックス陣のボールキャリアを何度も正確に捉えた。
前半30分を迎える頃。自陣深い位置でのラインアウトの場面で、司令塔を務める10番・落和史選手(4年生)は、手を叩きながら大きな声を仲間に掛けた。
「負けんぞ、走れって!必死にやろ!負けんぞ!」
絶対に勝たなければならない試合。
辛いことは分かっている。だからこそ、ピッチに立つ選手たちに必死さを求めた。
共同キャプテンの1人であり、ゲームキャプテンを担う青木拓己選手は、試合中常に「大丈夫」と口にした。
「大東ここ我慢やで、大丈夫だいじょうぶ!」
「全員キツいから、走ろう!出し切ろう、大丈夫!」
後半、スクラムでプレッシャーを受けるようになった時には「樹来、大丈夫!できるから!」と、3番・河村樹来選手に声を掛けた。
離されそうになっても、くらいつく。
後半トライを取られた後には、モールを抜け出した1番・森俊輔選手が、青木キャプテンのキックパスを右の大外でキャッチした11番・小田嶋生吹が、それぞれトライを奪い返した。
今季の課題であるセットピースは、試合序盤から安定した。
だがしかし、後半深い時間帯、要所の場面で安定は崩れてしまう。
「大事な場面でのセットピースで後手を踏んだ。なかなか波に乗れない間に、相手に取られてしまった」と日下唯志監督が話した通り、ペナルティから相手にトライチャンスを与える。
最後までトライを狙った。
だが、取り切れなかった。
逆にスコアを離され、迎えたノーサイド。
これで、1勝4敗となった。
「悔しい、その一言です。ほんまに、その一言です。」
試合後、言葉少なに素直な気持ちを語った青木キャプテン。
「リーグ戦残り2試合。キャプテンだからといって、先頭に立ってチームをまとめるつもりはありません。大東は、個性豊かな選手たちの集まり。個々のカラーを持つ選手たちと横一列になって、残りの2試合も成長したいと思います。」
もう1人の共同キャプテン・吉瀬航汰選手も2試合ぶりに復帰。後半40分にダメ押しのトライを決められると、しばらく膝をついた