石見智翠館が大分東明とのフィジカルバトルを制す。中四国・九州の代表として挑む準々決勝へ「感動を生むラグビーを」|第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 2回戦

3月22日(金)に埼玉県・熊谷ラグビー場で開幕した、第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会。

24日(日)には2回戦の全8試合が行われ、ベスト8が出揃った。

ベスト8

  • 國學院大學栃木高等学校(栃木)
    出場:5大会連続10回目
  • 桐蔭学園高等学校(神奈川)
    出場:21大会連続22回目
  • 東海大学付属相模高等学校(神奈川)
    出場:2大会連続5回目
  • 目黒学院高等学校(東京)
    出場:11大会ぶり2回目
  • 中部大学春日丘高等学校(愛知)
    出場:7大会連続14回目
  • 大阪桐蔭高等学校(大阪)
    出場:2大会連続10回目
  • 御所実業高校(奈良)
    出場:5大会ぶり8回目
  • 石見智翠館高等学校(島根)
    出場:2大会ぶり11回目

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大分東明 14-34 石見智翠館

最初に勢いを掴んだのは石見智翠館。

前半6分、15分、23分にトライを決めると、全てのコンバージョンゴールも成功。2つのPGを追加すれば、前半を0-27と石見智翠館が大きなリードを手に折り返した。

後半は大分東明が反撃。後半11分、22分と立て続けにトライを決め13点差まで迫ったが、最後は石見智翠館が追加のトライを決め、14-34。

石見智翠館が22回大会以来3年ぶりのベスト8進出を果たした。

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石見智翠館

「今日のゲームテーマは『Life or Death』。生きるか死ぬか、でした。」

そう話すは、出村知也監督。

大分東明に勢いを与えないためには、自分たちがボールを持ち続けるしかない。

ただし相手にボールが渡った時には、ディフェンスで前に出よう。

受け手ではなく、攻め手にまわること。

「先のことは考えなくていい。今日は決勝戦だ」の一言とともに、選手たちをピッチへ送り出した。

その言葉どおり、プランを遂行した前半。

相手をノースコアにシャットアウトすると、テンポよくボールを繋ぎFWで前に出る、強くて速いラグビーをやり切った。

27点のリードで迎えたハーフタイム、出村監督は選手たちに笑顔で伝える。

「おまえら、100点や!」

滅多に言わないというその言葉を、フィフティーンは笑顔で受け止めた。

「だから後半はもっと頑張って、130点、150点にしよう。」

選手たちは「タックル、気持ち良いです!」と笑いながら、グラウンドに飛び出して行ったという。

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今季のキャプテンは、No.8の祝原久温選手が務める。

福岡県出身。もちろん東福岡からも声は掛かったというが「女の子がいる学校の方が良かった」という理由で石見智翠館を選んだ明るい性格を持つ。

入学後1ヵ月も経たずにサニックスワールドユースへ出場し、豪快なトライを決めた鳴り物入り。

それでも、主将という役割を背負うことは想像していなかった。

「できるかな、という不安な気持ちでした。でもみんなが僕の声を聞いてくれる。僕は言葉が苦手なので、これからもプレーでチームを前に出したい」と言う。

しかしそんな言葉とは裏腹に、試合中には何度も繰り返し仲間に声を掛ける姿を見る。

その理由について、祝原キャプテンはこう説明した。

「僕が味方から声を掛けられた時、嬉しかったんです。1年生から試合に出ていたので、先輩たちから『サンキュー!』とか『ナイス!』って言われたら嬉しかった。だから僕もみんなに同じことをしてあげたいな、と思って。」

先輩たちからやってもらったことを、僕もやってあげたい。

「還元したい」と言った。

そんな祝原キャプテンについて、出村監督は「ポジティブな言葉をグラウンドでも私生活でも発してくれる。自覚が出てきて、発言に重みが増してた」と信頼を置く。

人としての成長が、グラウンドの中での存在感として表れている。

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今年のスローガンは『一』に決まった。

初心に返る、頂点を目指す。様々な意味を、漢字一文字に込めた。

今季最初の全国チャンピオン獲得に向け好発進を切ったが、しかし選手たちに慢心はない。

「このまま勢いだけで行ってしまうと、足をすくわれる。これまでやってきたことをもう一回、みんなでミーティングして、しっかりと挑みたい」と祝原キャプテンが口にすれば、出村監督も「中四国、九州でベスト8に残っているのがうちだけ。中四国・九州の代表として戦いたい」と意気込んだ。

今年の合言葉は『Play to Inspire』。ラグビーを通じて、感動を与えることを軸に据える。

「みんなを笑顔にして、感動を生むラグビーを1年間かけて実現したい。そのためにもまずは春、一つでも多く勝ち進みたいです。(出村監督)」

感動のラグビーを、石見智翠館から。

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大分東明

「石見智翠館さんの方がコンタクトが強かった。6対4ぐらいでフィジカルが負けていたので、最初に波に乗れなかったかな、と。そこからズルズルと時間が進んでしまいました。」

そう話すは、白田誠明監督。

後半2トライと持ち直したが、石見智翠館の「良いタックルをたくさんもらった」と追い越すことのできなかった要因を語った。

実は大会直前、東福岡と変則マッチを行い、勝利を収めていた大分東明。

「見た通り弱いチームなので。たまたまです」と謙遜したが、実力は折り紙付きだった。

「僕たちは一歩ずつ、新しい景色を見る段階。そういう意味では、もう一つ勝てれば良かった」と、準々決勝進出を逃した意味を口にする。

「もう一回、一からやるしかないかな。」

大分東明の敗退を受け、ベスト8から九州勢が消えた。

大会始まって以来の出来事に「九州みんなで責任を取ります」と白田監督は言う。

「九州みんなで頑張って、底力を上げて。もっともっと頑張れるように、いろんなチームさんに勉強させてもらいながら、やっていこうと思います。」

秋、そして冬にはきっと『大分東明のエンジョイラグビー』が何度も見られるはずだ。

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