3月22日(金)に埼玉県・熊谷ラグビー場で開幕した、第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会。
24日(日)には2回戦の全8試合が行われ、ベスト8が出揃った。
ベスト8
- 國學院大學栃木高等学校(栃木)
出場:5大会連続10回目 - 桐蔭学園高等学校(神奈川)
出場:21大会連続22回目 - 東海大学付属相模高等学校(神奈川)
出場:2大会連続5回目 - 目黒学院高等学校(東京)
出場:11大会ぶり2回目 - 中部大学春日丘高等学校(愛知)
出場:7大会連続14回目 - 大阪桐蔭高等学校(大阪)
出場:2大会連続10回目 - 御所実業高校(奈良)
出場:5大会ぶり8回目 - 石見智翠館高等学校(島根)
出場:2大会ぶり11回目
常翔学園 12-23 東海大相模
前半8分にファーストトライを奪うと、その後も終始ポイントリーダーで在り続けた東海大相模。
ロングキックでエリアを回復すれば、強いFWを当て、足の速いバックスが仕留め切る。一度も相手にリードを許すことはなかった。
対する常翔学園は、スクラムで何度もコラプシングを取るなど見せ場も作ったが、逆転ならず。
関東3位の東海大相模が、初のベスト8進出を果たした。
東海大相模
「嬉しいです、めちゃくちゃ」
試合後、堪えきれぬ大粒の涙をひとり流したのは、2番・矢澤翼キャプテン。
1回戦・松山聖陵戦では納得のいくプレーができず、チームに迷惑をかけたと反省する。
だからこそ「この試合では自分がなんとかしないといけない」と常翔学園に挑んだが、今回も「仲間が助けてくれた」と目頭を熱くした。
「チームのみんなが支えてくれて、自分についてきてくれた。めちゃくちゃ嬉しかったです。」
勝った喜び以上に「チームが一つになった」ことに喜びを見出した。
写真中央がHO矢澤キャプテン
新チームが始動してから、矢澤キャプテンが一貫して話していたことがある。
「全員が同じ絵を見られるようになりたい。」
試合中、意思疎通することなく全員が同じプレーの形を迷いなく選択すること。関東新人大会時の課題でもあった。
それが、ここ全国の舞台で結実する。
新チームになって4か月。やっと、全員で同じ絵を見ることができたのだ。
「自分の悩みが、一つ消えた気がして。それが一番嬉しかったです。」
だから涙は、止めどなく溢れ出た。
もちろん、大きな課題ももらった。
体格の大きい、フォワードに自信を持つチームではあるが、スクラムでは常翔学園に圧倒された。
「自己満足で終わっていたのだと気付きました。」
スタンドオフ・長濱堅選手、フルバック・五島悠翔選手らバックスのエリア取りにも助けられた。
「バックスがFWを前に出してくれた。感謝したいです。」
自分たちの強みは、まだまだ伸ばせることを知った。
今大会、登録メンバー30人は埼玉で寝泊りするが、登録メンバーと同数ほどいるそれ以外の部員もまた、毎試合日帰りで応援に駆け付けている。
「チームが一つになれていると感じます。嬉しいです。」
キャプテンだから、チームが一つになるその喜びはひとしおだ。
一つになった東海大相模は、更なる『初めて』を求め、戦いの場を熊谷ラグビー場Aグラウンドに移す。
矢澤キャプテンは、力強く誓った。
「ここで終わるわけにはいかない。嬉し涙は、ここで終わりにします。」
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試合前、「歴史を新しく作ろう」の言葉とともに選手たちを送り出した三木雄介監督。
「子どもたちがそれに呼応してくれた」と喜びの表情を浮かべた。
「いつも通り、まとまって頑張った。気持ちが入っていましたね。」
初のベスト8を決めた選手たちを讃えた。
「一昨年全国大会を逃した桐蔭学園さんが、昨年は一気に(全国優勝まで)駆け上がった。選手たちには『ベスト8がまずは一つ目の壁。そこから駆け上がろう』と伝えています。ここで満足することはないと思うので、去年の桐蔭学園さんのように、ここから一気に駆け上がれるように。頑張りたいなと思います。」