Player’s Voice
ニュージーランド遠征での学び
先月末にはニュージーランドへ出向き、NZU(ニュージーランド学生代表)と2試合戦ったU20日本代表候補たち。
1戦目は38-66、2戦目は31-43と連敗。
NZの選手たちのスキルの高さを痛感した。
SO/CTBの本橋尭也選手は「もっといい試合ができるのではないかな、と思っていました。でも試合をする中で、小さなミスから大きな失点が生まれてしまった。結果的に大差になってしまいました」と話す。
「チームとして戦わないと、絶対に負けてしまう」ことを改めて思い知った。
だからこの日は、調和のとれた速さを意識し日本代表と対峙した。
日本代表が掲げる『超速ラグビー』を超える『コスモアタック』で、主導権を握ることを目指した。
個では叶わないが、その分FWは2月から、そして全体が集合した3月から積み重ねたチーム力がある。
「1人で勝てないなら2人で」という意識を持った。
「最初は良い形でアタックもディフェンスもできたと思います。でもブレイクダウンのスキルや、1対1で差し込まれた後にオフロードを放られることが多くなった」と、60分間を振り返った。
今月末には、U20日本代表メンバーが決定する。
国内で直前合宿を行い、勝負の地・スコットランドへと向かう日が間近に迫ってきた。
「日本代表の選手たちと体を当ててラグビーができたことはとても大きい。体の当て方を学び、体の大きな選手に対してスピードで勝つ重要性を感じました。チームとして勝利したい」と、改めてチーム力を強調した。
日本代表の練習生でもある本橋選手。日本代表合宿にも、3日間ほど参加した
完成度
U20日本代表が目指す『コスモアタック』。
SH髙木城治選手は、完成度について「7割くらいまで来ている」と言った。
だが、世界は70%の完成度で勝てる相手ではない。
U20トロフィーで対戦する香港、サモア、スコットランド、そして決勝戦では、100%の状態で戦うことが勝利の必須条件だ。
「まずは国内の最終合宿で10割に。スコットランドに行ったら、10割以上でしっかりと戦えるように準備していきたい」と、残り半月で精度を高める覚悟を口にした。
課題
先月から、大学1年生たちが数名加わった。
U20日本代表としての戦い方を、後輩に教えなければいけない立場。
「自分たち自身の理解度を上げないと、教えられない。理解度のアップに繋がっている」と話すは、SO伊藤龍之介選手。
「足りないこともすごく多い。でも、チームとしてはかなり出来上がってきています。チームとして細かい所を磨きながら、完成度を上げていきたい」と前を向く。
この日行われた日本代表との合同トレーニングをとおして、どこをどのように修正しなければいけないかが明確になった。
アタック局面のブレイクダウンで、2人目のサポートが遅く、ボールを奪われる場面が多かったことは大きな反省点。
アタックラインのスピードも、もっと上げたい。
最初の大きな山場であるスコットランド戦を考えると、FWでゲインが切れなくなった時に、バックスで更なるモメンタムをもったアタックができないと厳しい。今も練習では行っているが、その環境をゲームライクに近づけたい。
「バックスでモメンタムが作れたら、FWがすごく楽になる」と考える。
また外のスペースや、裏のスペースを見つけることはできていたが、そこにどうボールを運ぶかというオプション作りも大切だ。
さらには、自分たちが決めたストラクチャーの精度を高めるために、全員の理解度を上げることも必須。
「しっかりと落とし込めるように、コミュニケーションを取っていきたい」と力強く話した。
桜のキャプテン
中学時代、大阪府スクール選抜でキャプテンを務めた。
それ以来の『キャプテン』をニュージーランドで経験したのが、FB竹之下仁吾選手。
慣れない環境。1人で背負わず、仲間に頼った。
「アタックリーダーにディフェンスリーダーと、リーダーがいっぱいいます。だからハドルではリーダーたちに話してもらって、僕が最後のまとめ役」に徹したという。
自身は「言葉では引っ張れない」と自認する。
だからその分、プレーで仲間を引き上げることを意識した。
日本代表と体を当てたこの日も、オフザボールの働きでチームに大きく貢献。何度もスプリントを繰り返し、サポートプレーで存在感を示した。
幼い頃からポジション争いをしてきた矢崎由高選手は、先月末、U20日本代表活動から離れた。
U20日本代表として15番を背負った、ニュージーランド遠征。
「(矢崎選手が日本代表へ行った)その分、僕がフルバックをできる。そういうマインドで、ポジティブに捉えています」と明るい。
いよいよ、決戦の地へと向かう日が近づいてきた。
大一番目前。
フィジカルだけでなくスキルが加わった対戦相手に対して、どう自分のスキルを発揮するか。
「ニュージーランドで見つけた課題を残りの日々で克服して、スコットランドで優勝したい」と誓った。