「この仲間が誇らしい」59期の絆
ノーサイドの笛と同時に、飛び上がった。
何度も拳を天に掲げたのは、申驥世チームキャプテン。
「全国選抜もサニックスワールドユースも大阪桐蔭にあと一歩の差で敗れた。『絶対にタイトルを獲りたい』と僕以外も全員、思っていました。昨年準優勝に終わったセブンズを獲れて、本当にこの仲間たちが誇らしくて。本当に嬉しいです」
今年の1月7日に花園で全国制覇を成し遂げた時にも、グラウンドに立ち、大きな喜びを表していた申チームキャプテン。
だが、自分たちの代で勝ち取った優勝は「全く違う」感情だという。
「どちらが上ということはありません。でも自分たちの代で初めて全国優勝できた、初めての自分たちの全国大会タイトル。感動というか。『自分たちの代がやったんだぞ!』って胸張って言えるんで。本当に嬉しいです」
優勝の裏には、仲間のサポートもあった。
セブンズメンバーに入ってない、神奈川に残っている59期(3年生)の面々が、大分東名のスタッツを調べ菅平組を後方支援した。
「59期初タイトルを獲ってくれ」のメッセージとともに送られてきた分析データ。
神奈川に残る部員全員で撮った、応援のビデオメッセージまで届けてくれた。
セブンズメンバーだけではない。
部員全員が望み、掴み獲った今季初の全国チャンピオン。感慨もひとしおだ。
「みーんな、全国タイトルが欲しくて。全部、やっぱり(1代上の)58期と比べられてきて。選抜もサニックスも負けて、『ここ獲りたい』ってみんな本気で思っていました。決勝戦に出たのはほぼ3年生なのですが、その気持ちが出たのかなと思います」
次は、この経験を冬へと繋げたい。
「この優勝を自信にします。夏の厳しい練習を乗り越えて、秋には11月17日の神奈川県予選決勝で勝って。冬、自分たちの代で花園優勝できるように。もう1回チームを作り直して、だけど良い意味でこの結果を自信に変えていきたいと思います」
逆転に次ぐ逆転劇を勝ち上がった桐蔭学園。
自信が執念となり、執念が道を切り拓く。
そこぐらいは、ほんまに
トライ数は大会通じて2つと、決して多いわけではない。
だがボールを持てばゲインメーターを稼いだ。
今大会、自陣深くから何度も敵陣に歩を進めたのは、徳山凌聖選手だ。
徳山選手は言う。
「7人制は、1人ひとりの責任も重くなる。正直ディフェンスはあまり得意ではないので、周りに助けられてばっかりでした。助かりました」
自身のランについても、同様に仲間に感謝する。
「誰かがゲインしてくれて、そのギャップに走り込んだだけ。仲間にチャンスを作ってもらった分『そこぐらいは、ほんまに走らな』と思ったんで。しっかり飛び込んでいきました」
先発した決勝戦。
後半5分にベンチへ退いたものの、仲間の出血により再度ピッチイン。
体は疲れ果てていたが、コーチ陣の「最後がんばれ」の声とともにグラウンドへ戻った。
試合後は大きな喜びを見せる一方で、膝に手をつき表情を崩す。
限界まで戦った様をうかがわせた。
「率直にめっちゃ嬉しい。日本一を獲れてホッとしました」
手にした今季初の全国タイトル。
更なる飛躍は、まだまだここから。