勝ち切った東海ブロック戦
プレーエリアがキーポイントとなった第2戦。
前半を終え12-5とリードしてはいたが、自陣でのプレーが続いた。
だからこそ後半は、武器であるアタック力を発揮するために、もっと有効な場所で攻撃したい。
「この点差で折り返せたことを前向きに捉えていい」と、廣瀬監督は選手たちに伝えた。
後半はキックを交えた攻撃に切り替えた。
中盤でのぺナルティも減り、敵陣深くでのプレーが続く。
しかし、相手は優勝候補の一角。強力なディフェンスを前に、仕留め切れない。
するとFWリーダーの前鹿川雄真選手は、声を上げた。
「俺らのテーマは、リロードとコミュニケーションだ!」
このチームは、練習時間も限られたコンバインドチーム。実践だって、この日が初めて。
だから試合前、選手たちは自分たち自身で試合のテーマを絞ることにした。
「しっかりコミュニケーションを取ること。そして、タックルした後の動き出しを相手より速く動き続けること。その2つを掲げました(廣瀬監督)」
廣瀬監督は言った。
「U17東海ブロックさんも強かったです。少し流れが変われば、全く違うゲーム展開になったと思います。この試合を経験できたことによって、自分たちがどこで勢いをつけるのか。スローガンの『スパーキングラグビー』を遂行するため、いかに速いランナー、強いランナーにどの局面でボールを託すのか、学ぶことができました」
前半2トライ、後半3トライ。
36-5で勝利を収め、みごと予選リーグ1位通過を決めた。
スクラムで圧倒
スクラムで圧倒できたことも、流れを大きく引き寄せた。
「バインドで勝てた」と話すのは、1番・喜瑛人選手。
バインド時に自分たちの姿勢がうまく作れたことにより、ヒットもうまくいったのだという。
「気持ち良いスクラムが組めました」
好バインドが好ヒットに繋がり、好プッシュに繋がったと喜んだ。
1番にも3番にも対応できる喜選手。
前日練習時には2番の位置でスクラムを組むシーンもあったが、自チーム・桐蔭学園では3番に入ることが多い。
「久しぶりに1番側で組んでいるので、スクラムがまだ不安定です。崩れそうになったこともありました。そこを改善したい」
隣で支えるHO堂薗キャプテンからは「喜、キープ」の声が掛かったこともあった。
U17東海ブロック戦では前半・後半それぞれ最初のトライが喜選手。「後半のトライは、味方がちゃんとラッチして持ち上げてくれた。全員がそういう意識だったことに感謝します」
チーム力で勝てた
大会初日を2連勝で終えると、堂薗キャプテンはホッとした表情を見せた。
自身初のキャプテン職。
「とても緊張しました」と、感情を隠さない。
「下馬評では、U17東海ブロックさんも強いと聞いていました。これまでの19大会において、関東ブロックは予選リーグで1敗もしていないというプレッシャーもありました。だからこそ、しっかり勝ち切れたこと、ここを乗り越えたことで『よりチームになれた』試合になったと思います」
苦しい状況下、全員でディフェンスで守り切れたこと。
取り切るべきところで、トライをとりきってスコアを重ねられたこと。
「チーム力で勝てた」と喜んだ。
残すは、大会最終日の2戦。
「日本一が懸かった試合。自分たちが目指す『スパーキングラグビー』を40分間やり続けるために、相手から先手を取る。チーム1人ひとりが目標に向かって勝ちを目指します」と次の戦いに向かった。
新しいチームを作る過程が楽しい
ビッグゲインから何度もチャンスメイクしたのは、CTB福田恒秀道選手。
試合中、大きな笑顔を浮かべた。
その理由を問うと「新しいチームを作る過程が楽しい」という。
急造チームだからこその楽しみ方があることを知った。
1試合目に良い入りができたこと。
2試合目、初めて失点を許した時に修正をし、後半に戦術を変更できたこと。
一つひとつが、チームを作り上げるうえで貴重な経験だ。
「接戦で焦って周りが見えていない場面もありました。でもしっかり最後は結果を残せた。良かったです」
大会最終日も、エースとしてチームを勝利に導く。
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