8月1日から3日まで、長野県上田市菅平高原・アンダーアーマー菅平サニアパークで行われたKOBELCO CUP 2024 第20回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会。
U17部門に出場したU17九州ブロックは、決勝リーグでU17近畿ブロックに敗れたものの、U17関東ブロックに勝利。
大会を2位で終えた。
朝一番の試合となった、U17近畿ブロック戦。
試合の入りで苦戦した。
ペナルティがかさみ、主導権を握られる。
「近畿さんにとっては良い形で試合に入れて、良い形でトライが取れた。勝負の世界とはこういうものでしょう。悔しいです」
松井裕平監督(福岡工業高校)は、悔しさを滲ませた。
勝負どころでのハンドリングエラーも続いた。
「勝ちたいという気持ちが、前のめりになりすぎてしまったのかな。すごく良い顔をしていましたし、コンタクトにもしっかりと入れていたのですが、ラインが浅くなってしまったように思います」
ベンチから試合を見守っていた松井監督がそう話せば、グラウンドに立っていたCTB半田悦翔選手(東福岡)はコミュニケーションを課題に挙げる。
「パスをする人が名前を呼んでいないこと、パスを受ける人もボールを最後まで見ずにキャッチしていたこと。相手を気にしすぎてボールを見ていないことが、コミュニケーションミスに繋がりました」
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それでも後半21分、自陣インゴール付近でボールを手にした半田選手は、自らで勝負を仕掛けた。
「近畿は前に出てくるディフェンスだったので、どういう対応をしたらいいかとずっと考えていました。一度キックしたのですが、あまり上手く対応できなくて。最終的には、横に走ってから切る、スワーブ的なステップがいいかなと思ってチャレンジしました」
陣地を進めると、ボールを託したのは15番・高野恵次郎選手(小倉)。
中学生の時に選抜チームで知り合い、4か月ともにプレーした阿吽の呼吸は健在だった。
「一緒に日本一を獲った仲」と、半田選手も厚い信頼を置く高野選手が振り抜き、トライ。
2人でおよそ90mを走り切ったトライだった。
「ふだんは東福岡の人としかコミュニケーションを取る機会がないですが、いろんな学校から集まっている中で自分から発言したり、他の人の意見に『良いな』と思ったり。九州のみんなでラグビーをする、という環境で成長できたのではないか」と半田選手は今大会を振り返る。
東福岡では、1年生の頃から試合に出場していた半田選手。
2年生となった今年、プレッシャーはないというが「自分が引っ張っていく立場」だという自覚はある。
そのためにも「すぐ、一番良い判断ができるようになりたい」。
「今日の試合も、一番最後に判断したプレーでトライでした。それをすぐ、最初に判断して、実行できるようになりたい」
判断力を磨く覚悟をのぞかせた。
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感じたのは仲間のぬくもり
最終・U17関東ブロック戦。
取っては取られての乱打戦となったが、最後は1トライ上回って勝利。
「最後は九州らしく、粘りのディフェンスでボールを取り返して終われた。それが一番良かったです」と松井監督は安堵の表情を見せた。
須藤蔣一キャプテンもまた、笑顔だった。
後半9分、試合を決定付けるラストトライを須藤キャプテンが決めると、次々に仲間が笑顔で駆け寄る。
「めちゃくちゃ嬉しかったです。仲間のぬくもりを感じました」
伝染した笑顔のきっかけは、須藤キャプテンだった。
トライを取られるたび「取られても取られても最後まで、笑顔で!」と仲間に声を掛けた。
「ライトニーにはいろんな意味があります。そのうちの一つが『魂』。自分たちの魂を、笑顔で戦いきること。笑顔で勝ち切って終わりたい、と意識していました」
最終戦を前に近畿ブロックの優勝が決まってはいたが、全員で目の前の一戦に切り替え挑んだからこそ掴み獲ったラストウィンだった。
須藤キャプテンは誓う。
「U17日本代表が、一番最初のスタートライン。そこからしっかりと、段階を踏んでジャパンを目指していきたい」と。
初めて経験したキャプテン。
高校2年生の夏は「とても濃い夏になりました」
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