お盆の時期には全国から高校ラグビー部が集う長野県は菅平高原。
8月12日(月)には、桐蔭学園高校(神奈川県)が東福岡高校(福岡県)と対戦し15-51。
東福岡が桐蔭学園から今季初勝利を収めた。
試合内容
桐蔭学園ボールでキックオフすると、最初に攻撃の主導権を握ったのは東福岡。
左右にグラウンド広くボールを動かし、機会をうかがう。
しかし何度目かのエッジにボールを運ぶタイミングでノックオンになると、ミスを逃さなかった桐蔭学園。
そのままボールを保持し続ければ、一気にインゴールまで持ち込んだ。
前半6分、桐蔭学園が5点を先制する。
その後は互いに好プレーが続いた。
桐蔭学園はSH後藤快斗選手がテンポよくボールを捌きながらフォワードとバックスを動かす。
対する東福岡は、2年生の左プロップが相手チームキャプテンへのノックオンを誘う好タックルを決めれば、その後も3年生ロックが相手ボールラインアウトをスティール。
時にはスローフォワードでボールを明け渡すこともあったが、徐々に陣地を前に進めると、敵陣22m付近でハイタックルのペナルティを獲得した。
するとペナルティゴールを選択し、点差を縮めることを選んだ東福岡。
1年生スタンドオフの橋場璃音選手が蹴り上げれば、スコアボードを動かす。
5-3と2点差に詰めた。
このまま勢いに乗りたい東福岡は、FB三好倫太郎選手が相手ディフェンスの裏に出ると独走。
ゴール中央に走り込み、チームファーストトライを奪った。
SO橋場選手のコンバージョンゴールも成功し、7点を追加。
5-10とこの日初めてリードを奪った。
一方、黙っているわけにはいかない桐蔭学園は「逃げるなよ、この瞬間から」「自分たちの武器出そうよ、焦る場合じゃないよ」と声を掛け合う。
すると息を吹き返す2連続トライは生まれる。
エッジでターンオーバーすると勢いのあるアタックを続け、FB古賀龍人選手が抜け出しそのままトライ。
続いても鮮やかなキックオフカウンター。
左サイドでの細かなパスワークでディフェンスを振りほどき、最後はSH後藤選手がトライを奪った。
しかしいずれのコンバージョンゴールも不成功となり、追加得点は10点に留まる。
15-10、桐蔭学園が再びポイントリーダーとなった。
シーソーゲームとなった前半。
続くキックオフ前、桐蔭学園No.8新里堅志選手は「もう一本取ったら流れ完全にこっち来るから。腹決めるぞ」と声を掛ける。
もう少しで、流れを掴みきるはずだった。
だが、終盤に得点を追加したのは東福岡。
FWが体を当て、接点で前に出れば2年生FL・内田瑛佑選手が俊足を活かして切り込みトライ。
続くラストアタックでもモメンタムを持ったアタックをみせれば、たまらず桐蔭学園は自陣ゴール前で再びのハイタックル。
PGを沈めた東福岡。
15-20と、東福岡が逆転して前半を折り返した。
ハーフタイムを挟んで迎えた後半。
持ち前の修正力でトライを狙いたい桐蔭学園と、接点で前に出てミスなく攻撃を続けたい東福岡のラスト30分は、思わぬ大差がついた。
相手が圧力をかけてきたラックから球を捌いたのは、東福岡のSH中嶋優成選手。
13番・14番と外側のプレイヤーにボールは繋がり、トライ。
後半最初のトライを奪い、15-27。
続くキックオフ前、東福岡のNo.8古田学央キャプテンは「ヒガシ、ここやここ!」と声を掛ける。
勝負の分かれ目。集中力を全員が高めた。
すると相手の連続ペナルティから敵陣に入り込み、この日3本目となるPGを選択した東福岡。
3点を追加し、15-30。ダブルスコアをつけた。
対する桐蔭学園は、敵陣5mでのラインアウトチャンスを得てモールを狙ったが、押し込めない。
完璧なモールディフェンスをみせた東福岡。守り切る。
ディフェンスで勢いを掴むと、次なる東福岡のトライもディフェンスから。
再び自陣ゴール前まで桐蔭学園に持ち込まれたものの、桐蔭学園・FB古賀選手が裏へ小さく蹴り上げたボールを東福岡・FB三好選手がキャッチすれば、ゴール前でボールを繋いだ東福岡。
6番・内田選手がまたしても自陣でラインブレイクし、そのまま走り切った。
15-37、22点差をつけた。
糸口を掴みたい桐蔭学園は、浅めにキックオフを蹴り上げる。
だがキャッチし続けたのは東福岡。
50:22からアタックを継続すれば、またもや得た敵陣でのペナルティ。
点差が開いたタイミングではPGを狙わず、タッチに蹴り出せばラインアウトモールを一発で押し切った。
15-44とリードを広げた。
スコアは離れた。セーフティリードを得た東福岡。
だが、最後まで東福岡らしく戦い続けるために。
「やること同じよ!何も変えんな、戦い方一緒よ!」と最後尾から声を出したのはFB三好選手。
最後の攻撃も、改善されたハンドリングを活かしたトライで1年生WTBがトライを取り切った。
この日、東福岡が決めた得点は前後半あわせて6トライ6ゴール、3ペナルティゴール。
プレイスキックを全て成功させたのは、1年生スタンドオフの橋場選手。得点で相手にプレッシャーを大きく与えた。
接点で前に出て、ブレイクダウンでプレッシャーを掛け優位に立つと捌ききり、強くて速いFWが仕事をした東福岡。
バックスはミスを恐れずボールをワイドに繋いで、ルーズボールになれば真っ先に飛び込んだ。
一方の桐蔭学園は後半、敵陣深くに入り込むことは数えるほどに。
後半はなんと、ノースコア。
トライで勢いを得ようとした桐蔭学園。
スコアにこだわった東福岡。
東福岡が、勝負に勝った。