東福岡が桐蔭学園に51-15で勝利。キャプテンが見せた背中に「心を動かされた」|菅平合宿2024

東福岡

東福岡が掲げたテーマは『継続』。

12番・川添丈選手、13番・藤野桜生選手と、下級生の「繋ぐ両センター(藤田監督)」が回し、スキルの高い15番・三好倫太郎選手がリンク役として迎えた、昨季の花園決勝カード。

「いつもと違う、独特の雰囲気で試合を迎えました。だから『しっかりとこの雰囲気を楽しもう』と声を掛けました」と話すは、No.8古田学央キャプテンだ。

下級生が流れを作り、3年生が要所を締めた。

フロントローは全員2年生。スクラムも日を追うごとに成長し、対等に戦っているとはFWコーチ評。

ラインアウトはスローイングもキャッチも、ともに安定した。

ゲームメーカーには1年生の名が並んだ。

スタンドオフは橋場璃音選手、12番でボールを繋いだのは川添丈選手。

2人の小柄なブレーンが、東福岡の肝となってボールを繋げば、橋場選手はプレイスキック成功率100%。

点差を広げる役目も担った。

しかし、体で存在感を示したのは3年生たちだった。

マイボールラインアウトに飛び続けたのはFL梁瀬拓斗選手。相手ボールラインアウトをスティールしたのは、LO梁瀬将人選手。

藤田監督が「一級品」と話すスクラムハーフの中嶋優成選手は、劣勢のラックからでもボールを捌き続けた。

良いランを見せた11番・遠藤裕人選手に、その声とスキルで東福岡のフルバックを体現した三好倫太郎選手。

そして何より、No.8古田学央キャプテン。

気持ちのこもったディフェンスに、力強いボールキャリー。1人ひとりがこだわって前に出られるようになった東福岡を、背中で見せつけた。

古田キャプテンは言う。

「正直、これまでの大会では『自分がキャプテンなのに何もできていない』とずっと思っていました。自分の中でも、だいぶ悔しい思いがあって。代々のキャプテンに比べて、個人のプレーが劣っていると自分が一番分かっています。自分がスターターで引っ張っていかなければ、チームの吸引力にも関わるからこそ、自分が成長する姿を。自分が良いプレーをしたら、仲間はついてくる」と、プレーが覚悟に追いついたゆえんを語る。

藤田雄一郎監督も「久々に良いNo.8の後ろ姿を見られて、心を動かされた。プレーで示し始めた」と手放しで讃えた。


「まだまだ冬に向けて、もっと良いキャプテンになれるように頑張ります(古田キャプテン)」

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菅平では、試合を重ねるごとに調子を上げている。

1試合目となった常翔学園戦。

大きいFWに圧力を受け、試合の入りでスコアを重ねられた。それでも後半に巻き返し、結果的に1トライ差まで追いつく。試合終了間際には攻め込んだが、取り切れずの敗戦だった。

「自分たちが今までやってきたことを、常に出せるようになった」と感じられるゲームだったと古田キャプテンは言う。

2戦目の茗溪学園戦では、それまでの「今季ベストゲーム(稗田新ヘッドコーチ)」を更新。

フィジカルの強い相手にも「俺たち、やれる」と思えるようになったこと。

ボールもミスなく継続できるようになったこと。

自信をつけ、この日の桐蔭学園戦へ挑んでいた。

藤田監督は言う。

「セブンズで自信をなくしましたが、その後の久住合宿で手応えを掴んで菅平に上がってきました。1戦目の常翔学園戦、2戦目の茗溪学園戦と体の大きなFWを有するチームにも体を当てにいけるようになって。だからこそ、今日の桐蔭学園戦が勝負だと伝えていました。今年は2日連続で良い試合をしたことがなく、今日も最初はリードされこのままズルズルいくかな、と思ったのですが、1年生スタンドオフ・橋場のプレイスキックで得点を重ねられた。東福岡で在り続けるためには、今日のようなゲームをしないと」と前を向く。

先発ジャージーを手にする3年生は、15人中わずか3分の1。

だが気持ちとプレーとが噛み合えば、そしてたくましい下級生たちが物怖じせずプレーすれば、『ベストゲーム』は更新できることが分かった一戦。

一方で、古田キャプテン喜びすぎることなく、淡々と先を見据える。

「桐蔭学園さんは冬、今より絶対に強くなってきます。今日の勝利は『勝った。だけど、なに?』という感じ。もちろん勝ったことで自信はつきますが、桐蔭学園さんは絶対に強くなる。明日・明後日と大阪の強豪校と試合が続くので、しっかり経験を積みたい」と引き締めた。

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3月。全国選抜大会、1回戦敗退。

5月。サニックスワールドユース、6位。

6月。九州王者から陥落。

7月。全国7人制大会、初の予選全敗。

そして、8月。まずは、昨季王者に完勝。

長く苦しかったトンネルを抜け出した選手たちの顔には、涙と笑顔が入り混じった。

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