東軍:歓声が背中を押してくれた
初めて踏み入れた、花園ラグビー場の第1グラウンド。
試合直後、東軍・鈴木心温キャプテンは興奮した表情で口早に言葉を紡いだ。
「すごかったです。歓声の声が響いて、一層大きく感じて。歓声が、背中を押してくれたかな、って」
夏に行われた、ブロック別の日本一決定戦。
鈴木キャプテンは、U18関東代表のキャプテンとして見事、優勝カップを手にした。
「一人でも多く、花園のメンバーに選ばれたい」と話していた真夏の菅平。結果、関東ブロックからは7名が選出された。
「選ばなかった選手の分も、と選ばれた7人の選手たちは団結して花園にやってきました。絶対に勝つんだという強い気持ちを持って戦うことができました」
あの夏、ともに戦った仲間たちから、試合前に届いたメッセージがある。
『応援に行くから、絶対勝てよ!』
スタンドには懐かしい仲間の姿を見つけ「もう、勝つしかないですよね(笑)頑張りました」と笑った。
高校3年間、目一杯打ち込んだラグビー。
鈴木キャプテンは「諦めなければどこにでも道は繋がる」と信じることができるようになった。
「道はぜったい、どこかに繋がっていく。諦めず、もがいてもがいて、道が拓くまでもがき続けていれば、いずれ道は見つかって大きな舞台に立てるはず。だから合同チームで戦う日本中の選手たちにも、諦めないで頑張って欲しいです」
自ら扉を開いた1人として。同じような境遇にいる高校生たちに、言葉をのこした。
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西軍:365日分の成長
西軍のキャプテンを務めたのは、15番・後藤洸輝選手。
小学1年生で始めたラグビー。
高校進学時に、ラグビーの強豪校に行く選択肢がなかったわけではない。
だが「強豪校に行くことも、部員数が少ない学校に行くことも自由」と、自ら大分県立玖珠美山高校を選んだ。
「部員数が15人に満たなくったって、環境関係なく自分がやれることをしっかり行うこと。上を目指してラグビーをすれば、見てくれている人は必ずいます。僕も今回、こういう舞台に立つことができました。しかも監督が見ていてくれたおかげで、キャプテンも任せてもらえました。自分がどんな環境に身を置くか、はそんなに関係ないと思っています」
自分がやり抜くことさえすれば、誰かが見てくれている。
そのことに気付くことができた3年間だったという。
2年次には、U17九州ブロックの代表にも選ばれた後藤キャプテン。同じチームにはもちろん、東福岡や佐賀工業の選手もいた。
だが「不思議と、強豪校の人と一緒にプレーしても羨ましいと感じることがあんまりなかった」と笑った。
「チームに帰ってラグビーをしたら、やっぱり一番楽しかったんです」
3年間通して後悔はないです、と言い切った。
高校入学時。
高校でラグビーを終える予定だった。
大学からは、将来の夢に全力投球しようと考えていた。
だが高校での3年間を終えた今、大学でもラグビーを続けたいと胸に秘める。
「もっとラグビーを高いレベルでやってみたいという気持ちが出てきました。強いレベルで、いける所まで上のレベルでプレーしたい」
希望の学部があり、関東大学対抗戦にも属する大学に挑戦したい。
将来的には、世界の舞台で、人のために貢献できる仕事に就きたいと夢を見る。