合同チームで過ごした3年間と、3年目で迎えた初めての単独チーム出場。埼玉県の花園予選が始まる|第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選 1回戦

アンサング・ヒーローズ

アンサング・ヒーローズ。

ラグビーに携わる、名もなき『縁の下の力持ち』たちを紹介する。

監督・レフリー・会場運営の『三刀流』

この日、進修館高校グラウンドで行われたのは計3試合。

1試合目のレフリーを担当したのは、3試合目に試合を行った栗橋北彩高校監督・橋本大貴さん。

3試合目のレフリーは、進修館高校監督・梨本雄太さん。

1試合目に進修館の監督として采配し、2試合目には会場校として救急車対応を挟みながら、3試合目はレフリーとしてピッチに立った。


進修館高校・梨本雄太監督

自らが監督を務める学校の試合と、レフリー業務と。

マルチタスクをいとわず、汗を流し続けたのは学校の先生たちだった。

進修館高校・梨本監督は「それが当たり前」と口にする。

試合会場校は、誰よりも早く到着し会場を設営。終わった後も、最後まで後片付けを担う。

ラグビーに励む高校生の側には必ず、惜しげもなく支える大人たちの姿がいつもある。


栗橋北彩高校・橋本大貴監督

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選手たちに楽しんでもらいたい

1回戦・第2試合のレフリーを務めたのは、遠藤蒼太さん。

本庄第一高校から大東文化大学に進学した、大学1年生。

この日、初めて花園予選の笛を吹いた。

遡ること1年前。高校3年次に訪れた菅平高原での夏合宿では、様々な練習試合で笛を吹き、経験値を積んでいた遠藤さん。

「選手観が難しい」と話していた、あの頃。試合が終われば反省点を口にし、レフリーとしての視点と、選手としての視点の違いに頭を悩ませていた姿が印象的だった。

それから季節はめぐり、関東協会の認定研修を受けるまでに成長。

昨年は花園予選に出場するチームの一員だったが、今年はピッチに立つ31人目となった。

「今日は『選手たちがどれだけ楽しめるか』を念頭に置きました。自分が昨年高校ラグビーを引退したばかりだったので、選手たちの気持ちを僕が一番理解できるんじゃないかな、と思って。だから、選手たちに楽しんでもらいたい、それが一番でした」

もちろんそれだけではない。

勝ち進んだどちらかのチームには、次の試合が訪れる。

だからまずは安全に、何より怪我なく。

「怪我をしてしまったら、勝っても負けても(次戦に出場できなければ)一緒。好きにプレーして欲しいけど、ある程度のルールは裁かないとゲームが作れず両チームともフラストレーションが溜まってしまいます。そのバランスを取ることが、今回は難しかったです」

初めて担当した、花園予選。大きな収穫と、新たな課題を手にした。

試合後、選手たちに言われた言葉がある。

「自分たちがやりたいことをできました」

勝ったチームだけでなく、敗れたチームからもそう声を掛けてもらったんです、と嬉しそうに話した。

「選手たちに楽しんでもらうことが一番。だけど僕も、楽しかったです」

これからも、選手の気持ちを大切にできるレフリーで在り続けたい。

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