3大会ぶりのベスト4・國學院栃木が見せる進化。ディフェンスのDNAと縦の意識。根底に流れるは『紺の血』|第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会

試合概要

第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会 準々決勝

【対戦カード】
國學院大學栃木高等学校 12-0 石見智翠館高等学校

【日時】
2025年1月3日(金)14:45キックオフ

【場所】
花園ラグビー場 第1グラウンド

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試合結果

國學院栃木:紺ジャージー、石見智翠館:青ジャージー

春の全国選抜大会、サニックスワールドユースに続き、今季公式戦3度目となった國學院栃木 対 石見智翠館の一戦。

先制パンチを見舞ったのは、これまで2敗の國學院栃木だった。

前半4分、ゴール前まで攻め込むと、10番・神尾樹凛選手が左外で待ち構えていた13番・根岸悠羽選手へ素早いパスを放る。

そのまま縦に走り込んだ根岸選手。國學院栃木が7点を先制した。

その後、石見智翠館の猛攻をしのいだ國學院栃木が再びの好機を得たのは後半17分。

モールが崩れた所、6番・下境洋選手がラック右サイドへ飛び込めば押し込む。

12-0。

國學院栃木が『リベンジのコクトチ』を発揮し、ベスト4入りを果たした。

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國學院栃木が携える武器

抽選の結果、國學院栃木が準決勝で相まみえるチームは、昨季王者・桐蔭学園に決まった。

言わずもがな、関東のチーム同士の戦い。

今季2月に行われた関東新人大会ではラストワンプレーで28フェーズを守りきった國學院栃木が10-7で勝利を収め、関東新人王者に。

しかし6月の関東大会では桐蔭学園が40-6と大差をつけリベンジを果たせば、関東王座を死守する。

今季、公式戦の戦績は1勝1敗。いま、決着をつける時が来た。

吉岡肇監督は言う。

「(3回戦の相手)京都工学院さんには、前後半30フェーズをやられましたので(笑)打たれ強くなりました。花園は1試合1試合、大きく成長する舞台。これまで3試合戦っているので、階段を3段上がっています」

その階段の上り方は、しかし何かを新しく得たわけではない。

國學院栃木としての『紺の血』に磨きがかかり、チームはより『國學院栃木』になったのだと吉岡監督は言う。

「全員でタックルして起き上がり、粘り強く諦めないでインゴールに雪崩こまれても応戦させない。より磨きがかかりました。チームは色濃く成長している」と、手放しで褒め讃える。

武器はそう、定評のあるディフェンス力。

今大会開幕前に行った各校との練習試合でも、失点を0点ないしは7点以内に抑える粘り強さを発揮。

ここ花園でも、これまでの失点は2回戦で与えた1つのペナルティゴールに、3回戦での1トライ。あわせて僅か8失点に留まっている。

準々決勝ではなんと4試合中唯一の完封ゲームを見せた。

ベスト4入りしたチームの中でも群を抜いた失点の少なさは、間違いなく國學院栃木にとって強固な盾となるはずだ。

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また王者の絶対条件である『トランジション力』も有する。

ラックへ掛ける人数の見極めから、ここぞというブレイクダウンへ応戦するや否やボールを奪い返し、そのまま攻撃へと転ずる15人の判断力は一朝一夕に培われたものではない。

もちろん、ボールを左右に大きく振るワイドアタックにも15人それぞれが対応。

プロップの牧田玲大バイスキャプテンは「大変です」と笑うが、それでも「目標は打倒・桐蔭学園。目標のチームに勝つには、絶対にこだわらないといけない」と覚悟をのぞかせる。

「FWとして、スクラムには自信を持っています。モールも今年の大きな武器。モールを組んだらトライが取れるという自信はあります」

FWリーダーらしい言葉をのぞかせた。

良い位置でモールを組むためにも重要となるのは、陣取り合戦の要・スタンドオフ。

10番を背負う神尾樹凛選手には、國學院栃木の戦略・戦術を担当する吉岡航太郎コーチも「いま結果が伴っているのは、神尾のキック」と全幅の信頼を寄せる。

公式戦では今季3度目の対戦となる、國學院栃木と桐蔭学園。

「抽選では『桐蔭を引け!』と思っていました。花園に来る前から桐蔭学園対策をしてきたので、戦うことができて嬉しいです」(神尾選手)と喜んだコクトチフィフティーン。

1月5日、日曜日。

いま、真の関東王者を決める戦いへと挑む。

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