10月
オール神奈川として国スポ・佐賀大会に出場し、チームを離れて経験値を積む選手たちがいた晩夏。
一方で怪我から復帰できぬ者もいた。
申キャプテンに古賀バイスキャプテン、No.8新里選手。昨季、花園優勝の瞬間をグラウンド上で経験した選手が、夏の終わりに揃って離脱した。
その間、キャプテン代理を務めたのはLO西野誠一朗選手にSH後藤選手。
チームを率いまとめる経験を持つ選手が増えたことで、59期には厚みが増した。
またこの頃、3年生たちが腹を割って話した、ある一つのミーティングがある。
このままで本当に優勝を目指せるのだろうか。大阪桐蔭と再び対戦した時に、後悔する結末にはならないだろうか。
最初は和やかに始まったという話し合いも、次第に熱量は増し、次から次へと本音が溢れ出る。
みんながみんな、本気で花園優勝を目指していた。だから奥底にある想いを共有することで、個々の想いをチームの道しるべへと昇華させたのだ。
そう、全ては1月7日に笑うために。
敗戦と勝利を経験した桐蔭学園は、この頃から最後の仕上げに入った。
11月
11月17日。
2年連続22回目となる、全国高等学校ラグビーフットボール大会 神奈川県予選会優勝を果たした。
好敵手・東海大相模との決勝戦は、34-18。一時6点差まで詰められたシーンもあったが、苦しい時間を耐え抜き、一瞬のチャンスで得点を重ねれば最後は引き離した。
結果的に、秋以降の公式戦で最多失点を喫したのが、この神奈川県大会決勝戦。
いかに神奈川県内の各校がレベル高く競争しているか、が改めて浮き彫りとなった。
12月
迎えた第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会。
初戦・流経大柏戦では、どっしりと構えたラグビーで48-7。最初にして、難敵を振り切った。
試合後には流経大柏の応援席から『桐蔭のこころ』が響き、桐蔭学園サイドからは『流経のこころ』で返された光景は、まさに良き仲間であることを疑う余地のないものだった。