3月29日(土)に行われた、第26回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 準決勝。
御所実業と桐蔭学園の対戦は、桐蔭学園が完封勝利を収め決勝へと勝ち上がった。
準決勝 御所実業 0-17 桐蔭学園
御所実業
組めなかったモール。
組まなかったモール。
御所実業の武器が、この日は影を潜めた。
試合序盤に主導権を握ったのは御所実業。
だがモールを押し込み切れずパイルアップを取られると、好機を逃す。
その後、何度も敵陣22m内でのラインアウトチャンスを得たが、この日は肝心のラインアウトが不調。
ボールを確保しきれず、モールを組むことさえままならなかった。
その原因について、中谷圭部長は「スロワーもジャンパーも両方。ボールも滑るし、いつもであればボールを取っていた位置で取れなかったこともあるし。今日は雨だったのでウォーミングアップを室内で行ったのですが、ラインアウトを合わせることができなかったんです。そういうことも影響しているかもしれませんが、それも含め自分たちの練習不足。大事な場面で2回エラーしてしまったこと、エラーを減らせなかったことが、うちが負けた原因やったと思います。帰ったら練習したいと思います」
まだまだ、シーズンは前半戦。残る半年以上の時間で「積み上げていきたい」と誓った。
100%、自分
雨の中のゲーム。
自分たちがどれだけ基本プレーができるかが勝負所、と踏んでいたのは8番・津村晃志ゲームキャプテンだ。
だがセカンドマン、ルーズボールへの反応で後手を踏み「自分たちのプレーができなかった」と続ける。
「モールを組みたかった。でも、あんまり組めなかった。ひとつ組めたところでは、スクラムハーフが持ち出してしまって。なかなか自分たちのやりたいラグビーが、声を出してできませんでした。考えがバラバラになってしまいました」と悔やんだ。
ラインアウトのスロワーを務める、津村ゲームキャプテン。
思ったボールを投げ入れられなかったことに「100%自分が悪いです」と自責の念に駆られる。
だから。
「練習あるのみ」と表情を引き締め、奈良へと帰った。
魂で負けてしまった
今季の統括リーダーを務めるは3番・藤井威吹選手。
「新チームが始まってから『結束力』をテーマに掲げ、コミュニケーションを取ることを意識してきました。でもこういう大事な舞台でコミュニケーションが取れなかった。とても悔しい気持ちでいっぱいです」
桐蔭学園の競る圧力に負け「御所実業が気持ちで、魂で負けてしまった」と言った。
自身は、ボールを前に進める強きキャリアーとなった。
「ゴセの統括リーダーとして、プレーで前に引っ張っていかなきゃいけない」がモットー。
前任の先輩から託された「どんな時でも、自分のためじゃなく人のために行動しろ」を体現した。
人のため。チームのため。
ボールを持ち前に出たプレーの数々は、まさしくチームマンだった。
この日、桐蔭学園の3番には、小学4年生から芦屋ラグビースクールでともにプレーしてきた喜瑛人選手が。
「幼馴染対決でした」と笑った藤井統括リーダー。
「喜は2年生から先発で、僕はリザーブ。だからいつも入れ違いで、今日初めて対戦しました。いろんな気持ちはあったのですが『絶対に勝ってやろう』と頑張りました。でも、思っているよりも強かったですね。自分の未熟さに気付けました」
決勝戦に挑む幼馴染に向け「ゴセの分まで頑張ってほしい」と託し、熊谷を去った。

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