桐蔭学園
「前半からずっと敵陣に行けなかった。御所の時間が続いている時に、ラッキーなことに2本(トライを)取られなかった。本来であれば、取られていたでしょう。そうしたら完全に流れは逆だったと思います」
試合後、藤原秀之監督は厳しい表情で言った。
御所実業との準決勝に向け「ラインアウトはかなりケアしてきた」という桐蔭学園。
想定よりもモールを組まれる回数が少なかった一方で、エリア取りに苦慮する。
「バックスがエリアを取れなかった。これはスキルの問題もあるし、ラグビー理解力の問題もある」とは藤原監督。
前日に行ったミーティングでは、FWとBKとで考え方の異なる場面があり、溝が埋まり切らぬまま試合に挑んでいたことを明かした。
「FWとBKとでズレた考え方が出やすい試合だった」とも言った指揮官。
「17点差開いていたのに、最後継続しました。決勝戦であれば、行ってもいい。でもこれは準決勝で次の試合があります。時間を使うラインアウトにしない、マネジメントの悪さが出たなと思います。それでもFWは今日、頑張ってくれました」
「裏のプレーに行った時にFWとBKでズレが生じた」とは7番・前鹿川雄真バイスキャプテン
笑顔で、楽しんで
強力なモールを擁する御所実業。
FWとして前に出ること、相手よりも早いセットをして前で止めることを意識していたと話したのは、今季バイスキャプテンを務めるFL前鹿川雄真選手。
「モールをさせない」がフォーカスポイントだった。
キックオフ直後に組まれたモール。
ゴールラインまでたどり着かれはしたが、グラウンディングさせず守り切ったことで、桐蔭学園のFW陣に自信がついた。
「東海大相模戦では、選択肢に迷いが生じていました。だから今回はラインアウトの前に、このモールディフェンスは引き倒すのか刺すのかということを決めて臨みました」
相手の陣形によって自分たちのアクションを事前ミーティングで決めていたことが、功を奏した。
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前鹿川バイスキャプテンは今年、背番号7を背負う。
前キャプテンから引き継いだ、大切なポジション。
「キセさん(申驥世前キャプテン)がいるかいないかで、昨季のチームは変わりました。そういうプレイヤーになるためにはどうしたらいいのか、と昨年ずっと考えてきて。今は、その考えてきたことをチームに生かせるように。できるだけ自分は笑顔で、チームの雰囲気が下がらないようにと意識しながらプレーしています」
当初は「キセさんがこうやっているから、自分もこうやらなきゃ」という意識が強かったという前鹿川選手。
だが今では「チームがこう動くためには、自分はこう動こう」と選択肢を「楽しめて選べるようになった」のだと笑った。
「雨の中でミスは起こります。だから『大丈夫、次のプレーで自分のプレーをしよう』と目の前のことに意識を向けて。できるだけみんなが緊張しないよう、自分は笑顔でみんなに伝えるようにしています」
試合を重ねるごとに『自分らしさ』を見つけることができるようになった今、その『笑顔』を携えて。
迎えるファイナルの60分間。
「相手がどうこう、という話になりがちですが、やっぱり自分たちはまず自分たち。自分たちがやるべきことを60分間、軸をもってやり通します」と誓った。

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