これから、勝つことも負けることもあると思う。でもまずは勝つことを目指したい|昌平×川口|第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選2回戦

令和7年度 第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選の2回戦が4月19日(土)に行われ、昌平高校が川口高校に127-0で勝利した。

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試合概要

令和7年度 第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選

【2回戦】
昌平 127-0 川口

【日時】
2025年4月19日(土)

【場所】
川口北高校グラウンド

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昌平 127-0 川口

川口高校のキックオフで始まった一戦は、昌平が圧倒した。

昌平高校12番・玉川皓登選手がラインブレイクすると、11番・堀内久真選手へ繋ぎ、ゴール前で内に返して12番・玉川選手がトライ。

試合開始1分に満たない、ノーホイッスルトライで幕は開けた。

その後もディフェンスで隙を見せずボールを奪い返せば、すぐさま攻撃に転じた昌平。

前半だけで11本、後半にも10本のトライを決め、圧倒。

前後半あわせ21本のトライを奪い、127-0で準々決勝へと駒を進めた。

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昌平高校

規律

「1年生も入って、初めての公式戦。新チームになって以降ずっとやってきていることを、今日の試合でしっかりと出すことができました」と話したのは8番・宮元崇キャプテン。

やってきていること、とは「ぶつかること」。

体を当てる、というラグビーの基本を繰り返した結果手に入れたフィジカルで、この日は圧倒できたことを喜んだ。

一方で、この日は21本のコンバージョンゴールが全てドロップキックで蹴り込まれた。

昌平ではキックティーをゴールキッカーが用意する慣習があるが、新チーム始まって以降ゴールキックを担当してきた宮本和弥選手(3年生)が前週に負傷し不在。誰が代わりにプレイスキックを蹴るか話し合わぬまま、この日を迎えていた。

「キッカーがいなくて、キックティーを忘れてしまいました。『誰か』に任せてしまったのだと思います。正直、自分も忘れていた部分。『やってしまったな』と。ラグビーをする上での規律ができていなかったんだと思います」

新年度初めてのゲームで、ほろ苦い、そして必ずや今後に生かされる経験を得た。

次戦は準々決勝・伊奈学園戦。いよいよ舞台は、熊谷へと移る。

「埼玉県の王者として。2冠目をもぎ取りに行きます」

勝負の3連戦が始まる。

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ゲームメーカーはルーキー

この日、グラウンドに立った1年生は4人。

そのうち先発出場は10番・神山暖武(かみやま はるむ)選手、ただ1人だ。

「緊張しましたが、先輩たちが声を掛けてくれた。頑張って、できました」

まだたどたどしい言葉尻に、15歳の面影を残す。

ラグビーを始めたのは、小学1年生の時。

茨城県は日立ラグビースクールから水戸日立ラグビースクールへと進み、越境して昌平にやってきた。

入学間もなくして、初めて背にした昌平の10番。

緊張もあったが「楽しくプレーできました。外にパスを回す練習をしてきたので、しっかりと回しました」と成果を口にする。

タッチラインから15m内でラックができても、さらにその外側、タッチラインからおよそ5mあたりまでボールを回すゲームメイクを見せた神山選手。

自身の強みだというパスで、この日は60分間を構成した。

しかしコーチ陣が褒める神山選手最大の武器は、パスの直前。『キャッチ』にある。

ボールが飛んでくる高さに合わせて腰を下ろし、少しでも早くパスを放れる態勢をつくるのだ。

「中学生の頃、当時のスクールのコーチに言われたことをそのまま継続しています。低い球が来た時にはしゃがんで、少しでも早くパスできるように、と思って」

積み重ねた習慣は、無意識の意識となった。

記念すべきファーストトライも記録し、上々のスタートを切った神山選手。ここから始まる、昌平での3年間。

「埼玉県予選でしっかりと勝って、花園で年を越すという目標があります」

数々の先輩たちが涙をのんだ、昌平がまだ見ぬ景色を引き受ける覚悟を口にした。

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「一緒に喜びを分かち合う」1年生の大型センター

181cm、93㎏。

大型のセンター兼ウイングが、この春入学した。

23番・佐藤汰信(さとう たいしん)選手。

小学3年生の時に、ケヤキッズ大宮ラグビーフットボールクラブでラグビーを始めた。

中学では埼玉セントラルラグビークラブに進むと、恵まれた体格を有し経験を積む。高校受験の時期には県外の学校からも多々誘いがあったというが「埼玉県で一番強い高校に行きたかった」と、昌平を選んだ。

「中学3年生の秋ごろに『埼玉県内の高校で花園に出て、優勝したい』という目標が生まれました」

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この日はリザーブ登録。

後半から出場すると、見せ場はすぐにやってきた。

自陣22m付近でのマイボールスクラムからボールを受け取り、隙間のないディフェンスの合間を、その質量と加速度で振り切る。

絶対にボールが渡るだろうというシチュエーション下でさえ、止めることのできない一走り。約70mの独走トライを決めた。

かと思えば、その次のプレーでは自らがおとりとなって仲間を生かすプレーに徹する。

巧みな使い分けとその大胆さは、わずか2週間前に入学式を終えたばかりとは到底思えない姿だった。

初の公式戦を戦い終えれば、なんとファーストゲームでハットトリック。

「まだまだです」の謙遜とともに「緊張しました」と笑った。

「昌平はほんの少し前まで、テレビで見ていた存在です。まさかこんなに早くファーストジャージーを着られるなんて」

同級生がトライを決めれば即座に駆け寄り、祝福する姿からも、その嬉しさは伝わる。

「メンバーに選ばれた1年生たちで、試合前に肩を叩き合って『がんばろう!』と言い合っていました。みんな、今日が初めての公式戦。誰かがトライを取ったら、一緒に喜びを分かち合いました」

他の1年生がボールを持って駆け上がる時には、たとえほぼトライが決まっているような場面であっても2人目のカバーにしっかりと走り込んだ佐藤選手。

「昌平の絶対的エースである宮本和弥さん(この日はケガのため不出場)や、良い先輩方がたくさんいます。しっかりとスタメンに定着できるように頑張ります!」

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