脱モールに挑戦する浦和。ありがとうの連鎖は川越|浦和 33-5 川越|第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選2回戦

浦和高校

この日は長短上下、多彩な種類のキックで攻撃を組み立てた浦和。

「フルバックの千嶋(一徳選手)がいろんなキックを蹴れて、前も見られる。空いている所に落とせるので、キック合戦になったら自信があります」と話すは、山本義明監督。「ディフェンスも安定してきたので大ブレすることはないと思っていた」と自信をのぞかせた。

一方で言葉を詰まらせたのは攻撃面。

「アタックの精度が・・・。今日は自分たちのミスで1次攻撃、2次攻撃で終わってしまいました。連続攻撃ができないと、準々決勝以降は厳しい」と課題を見出した。

この日、伝家の宝刀・モールをあまり組まなかった浦和。モールトライはわずか1つに留まった。

「もっとモールを使えば、と思ったんですけどね(笑)生徒は意外と展開したいらしく、展開していましたね」と山本監督は口にする。

その『脱・モール』の理由について説明してくれたのは、14番・宇野大樹キャプテン。今年のスローガンが起因するのだという。

挑戦

新人戦南部地区大会決勝で伊奈学園に5-28で敗れ、悔しさを味わったところからシーズンがスタートした今年の浦和。

3年生には公式戦出場経験者も少なく「上に行くんだったら、挑戦するしかないでしょ」とは宇野キャプテン。

今季のスローガンを『挑戦』に定めた。

その『挑戦』する心が、新たな攻撃スタイルの構築へと繋がる。

「浦和といえばモール、というイメージがあると思います。でも今年は根本的なサイズが小さくて、モールに固執してばかりだと厳しい。モールって、トライを取るまでに時間がかかるじゃないですか。負けている状況でモールに固執して、どんどん時間を消費してしまっているようでは勝てないな、と。だったらモールも使いつつ、他のこともやってみようと『挑戦』しています」

相手がモールディフェンスの準備をしているのだったら、外が空く。

だったらそこを攻めてみよう。

モール一本足ではなく、複数の攻撃軸を持つことで状況に応じたプランを繰り出したいと考えているのだという。

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次戦の相手は、川越東。新人戦のファイナリストであり「勢いのあるチーム」と宇野キャプテンは表現した一方で「今年の埼玉県はどのチームもあまり差がないと思っている」という。

「新人戦も拮抗した試合が多かったです。だから全く歯が立たないわけじゃない。今までやってきたことを突き詰めて、最後はガチンコ勝負で。ちゃんと前を見て、自分たちの得意なラグビーで勝ち切りたいと思います」

挑戦者として、向かう覚悟だ。

楽しくラグビーを

4月中旬らしからぬ高気温の中行われた一戦。

途中交替した14番・宇野大樹キャプテンは試合後、日陰に座り込みながら仲間に話し掛けた。

「へばっちゃった。ダメだよな、フロントロー2人はフル出場なのに」


後半にはダメ押しのトライも決めた

小学3年生の秋に、同級生に誘われ楕円球を握った宇野キャプテン。

「ボールを持って走る球技って、なかなかないじゃないですか。ただただ広いところを走ることが小さい頃から好きだったので、ラグビーにガッツリとハマりました。高校も、ラグビーをしたいから浦和に来ました」

勉強も、ラグビーも頑張りたい。もっと言うならば「楽しく」やり切りたい。

そのために選んだのが、浦和だった。

「ラグビーだけを頑張る学校では、僕は伸びないと思いました。楽しくラグビーをすることが、成長するために一番必要だと思っています」

楽しく、ラグビーを。

ラストイヤーも、変わらず楽しく。

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