9月13日に開幕した関東大学ラグビー リーグ戦1部。
10月12日(日)に熊谷スポーツ文化公園ラグビー場Bグラウンドで行われた日本大学と流通経済大学の一戦は、20-35で終了し、日本大学が開幕3連敗を喫した。
Pick Up Players
翔彰、と書いて「とあき」と読む。
半田翔彰選手、日本大学ラグビー部の3年生。
昨季はフルバックとして最後尾を守ったが、今季からポジションをセンターに移した。

日本大学の攻撃をけん引してきたジョアペ・ナコ(現・三菱重工相模原ダイナボアーズ所属)が卒業した今年、稲田仁監督は強いボールキャリアーを求めて半田選手に白羽の矢を立てた。
「お前しかいない。頑張ってくれ」
そう監督から託された言葉を胸に、春シーズン終了後からセンターへの挑戦を始めた。
挑戦と、課題と、道しるべ
183㎝、87㎏。
恵まれた体格を武器に、相手ディフェンダー数人を引きずりながらも足を前に進める力強いボールキャリーは、流通経済大学と対戦したこの日も威力となった。
そう、攻撃面においては問題ない。
もっぱらの課題は、ディフェンスにある。「難しいです。13番はディフェンスのレンジが広くて、食らいつくのに必死」なのだという。
「だいぶ今はできるようになってきたのですが・・・最初は全然できなかったです。弟、アイツ凄いですね」と苦笑いを浮かべた。
弟、とは、半田悦翔選手。現在東福岡高校の3年生で、センターを主として高校1年生の頃から花園の舞台に立ってきた選手だ。U17日本代表を経て、今年はもちろん高校日本代表候補に選ばれている逸材。弟の存在を認めながらも、負けられないという表情がにじんだ。
稲田監督は「フィジカル的なポテンシャル、サイズを含めて本当に力を発揮してくれています」と半田選手を称えたうえで、今後の成長ポイントに『コミュニケーション力』を挙げた。
「周りとコミュニケーションを取って、周りとリンクできたら(元々の)フィジカルやスキルにプラスして彼の良さがもっと出るかなと思います」
その言葉の意味を、半田選手自身も理解する。
「自分は昔から喋るのが苦手。中学生の頃も『話せ』と言われてきましたが、できなくて・・・。そのせいで福岡県選抜のメンバーから落ちたこともありました」
だからこそ、今年は『苦手を克服する年』と位置付ける。
幸い、今は頼もしい相棒がいる。センターコンビを組む同い年の後藤翔大選手。
「翔大はめちゃくちゃ喋ってくれるので、すごくやり易い。翔大がぜんぶ指示を出してくれて動いています(笑)すごいですね、翔大。めちゃくちゃ助かっています」
苦手を一人で抱え込むのではなく、仲間に支えられながら克服していく。そんな姿もまた、ラグビーが教えてくれることなのだろう。
12番・後藤選手は男子セブンズ日本代表に選ばれるなど経験豊富
仲間の声に支えられ、成長する。
その先に、半田選手が描く景色はある。
「全大学を代表できるような13番になりたいです」
苦手と向き合い、挑戦を続ける背番号13。その覚悟は、未来をまっすぐに見据えた。