【夏物語】この夏、僕たちは強くなる ~明治が好き。|明治大学付属中野高等学校ラグビー部

全国高等学校ラグビーフットボール大会、通称「花園」へ3度の出場を誇る明治大学付属中野高等学校ラグビー部。

母体となる明治大学ラグビー部は大学選手権で数々の栄光を手にしてきた超名門。その魂を受け継ぐ存在が、この明大中野である。

ゆえに紫紺のジャージーを纏う選手たちは、ただの高校生ではない。

「明治の名を継ぐ者」としての誇りと責任を背負い、花園への挑戦を続けてきた。たとえ全国大会への出場が叶わぬ年があろうとも、伝統の重みは常に選手一人ひとりの胸に刻まれている。

2人のリーダーが示す背中

今季のチームを率いるのは、高校から明大中野の門を叩いたFL毛利嘉月キャプテンとCTB中野義崇キャプテン。異なる背景を持つ2人が肩を並べ、部員を牽引している。

中野キャプテンがラグビーを始めたのは5歳、横浜ラグビースクールでのことだ。

高校進学に際して迷わず明大中野を選んだ理由は「明治が好きだから」。

明治大学で紫紺を着てプレーしたい、その夢を叶える最短の道が明大中野だった。

多くの外部コーチの存在や、紫という色への愛着も、彼の思いを強めた。

何度も口にした「明治が好き」という言葉に、揺るぎない明治愛が滲む。

一方の毛利キャプテンは小学2年から練馬ラグビースクールでプレー。数多くの高校を見学した末に選んだのが、明大中野だった。

「仲間思いの選手が多かったこと。そして指導陣の厳しくも熱い姿勢に惹かれた」と振り返る。

持ち味である「体を張るディフェンス」を存分に生かせる環境だと確信しての選択だった。


1人で3人を相手にしているのが毛利キャプテン

部員の約半数は、中学からの内部進学組。

明治大学に進学する生徒も大勢いる。だが、明治大学『ラグビー部』に進めるのは、例年数人程度と狭き門。

紫紺を背負う夢に手を伸ばすには、仲間との熾烈な競争を勝ち抜かなければならない。その現実が、日々の練習に熱を宿らせている。

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スローガン「徹底」に込めた思い

今季は『徹底』をスローガンに掲げた。

その背景には、春季大会での苦い敗戦がある。

目黒学院との一戦で、ペナルティや不用意なプレーが重なり、自らの手で勝機を逃した。「自分たちで自滅してしまった」とキャプテンたちは口にした。

この経験から『徹底』は、技術や戦術だけに留まらず、私生活や学校生活にまで及ぶものとなった。

練習の雰囲気が緩んだ時には必ず声を掛け合い、食事や片付けといった生活の細部にまで規律を持ち込む。

「私生活が乱れれば、必ずグラウンドに影響します」

ふたりの共同キャプテンの言葉は、部員全員に習慣として浸透しつつある。

ディフェンスで試合を支配する

一方、プレーの根幹を成すはやはり、ディフェンスだ。

毛利キャプテンは「相手に自由を与えないタックルから流れを掴む」と語り、中野キャプテンも「ディフェンスで耐えて、そこからチャンスを作る」と力を込める。

強度の高いディフェンスを磨くことこそ、チームのアイデンティティである。

7月末に行った北海道合宿では、札幌市・月寒ラグビー場での大会に招待され、5泊6日で多くを学んだ。続く8月の菅平合宿では連日試合を重ね、規律あるディフェンスと精度の高いプレーを徹底的に追求した。

ただ一方で、夏合宿を通じて浮き彫りになった課題もある。フォワードの強化だ。「スクラムもモールもFWが課題」と毛利キャプテンは認める。

明治の名を背負う以上、フォワードは強くなければならない。技術だけでなくフィジカルも鍛え上げ、「フォワードがチームを引っ張る存在に」と意気込む。

懸ける秋

迎えた、秋シーズン。いよいよ、第105回全国高校ラグビーフットボール大会 東京都予選が始まった。

中野キャプテンは「相手がどこであろうと、勝って花園が目標」と語り、毛利キャプテンも「徹底してきたことを信じて挑む」と強い眼差しを向ける。

来たる10月19日の準々決勝では、成蹊高校と対戦。勝利すれば、11月2日の準決勝で春の雪辱を誓う目黒学院が待ち構える。

紫紺の伝統を背負い、仲間思いの心をつなぎ、そして「徹底」を胸に刻む明大中野ラグビー部。

挑戦の先に待つものは勝利か、成長か。そのすべてを懸けて、前へと進むために、夏に誓う。

『レベルアップ』

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