3回戦 朝霞v浦和【第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選】

ラグビーの季節がやってきた。

約半年ぶりの公式戦。そして、3年生にとっては最後の戦い。

花園を目指し、青春をかけて戦う選手たちをレポートする。

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試合概要

【対戦カード】
埼玉県立朝霞高等学校(以下、朝霞)v 埼玉県立浦和高等学校(以下、浦和)

【日時】
2020年10月11日(日)14:30キックオフ

【場所】
熊谷ラグビー場Bグラウンド

試合結果

朝霞 14 – 61 浦和

試合展開

朝霞:青赤ジャージ、浦和:紺ジャージ

奇しくも、昨年の3回戦と同じカードとなった朝霞対浦和。

前回は成す術なく0対68で敗れた朝霞、今年は「本気で勝ちに来た」と語る今成卓也監督。試合前から、ピリピリとしたムードが漂う。

対するは前大会覇者、浦和。花園でも、埼玉県勢としては久しぶりに年を越してきた。

 

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王者・浦和の、ゴール前での力強さは格別だ。

接点に強く、ラインアウトでも容赦なくプレッシャーをかける。気付いたらゴール付近までボールを持ち込み、ポール付近でグラウンディング。そんな全9トライは、初心者が大半ということを忘れさせる。

チームの司令塔を務める、10番の安藤選手。スタンドオフとしては、おそらく埼玉県一のサイズではないか。大きい。いや、デカい。「10番はゲームメイクできるから楽しい。」ただ今日は不本意な試合だった。「スローフォワードを3本取られた。ゲームに適応できなかったことが最大の反省点。高校から始めたラグビー人生、今日は一番不甲斐ない試合をしてしまった。」と振り返る。

花園予選準々決勝の位置付けの試合から、試合前に部歌を歌うのが浦和の伝統だ。いつもは密閉したテントの中で気持ちを上げるが、今年は新型コロナ対策もあり、青空の下声高らかに歌い上げた。

キャプテンを務める山際毅雅選手(2番、3年生)は「新人戦は怪我で出場できなかったため、個人としては花園での桐蔭戦以来の公式戦。部歌を歌って少し気持ちが落ち着いたかな、と思ったが、グラウンドに立つとやっぱり緊張してしまった。」という。それでもピッチ上で仲間を引っ張る2番の背中は、キャプテンのオーラを纏っていた。顔もどことなく、日本代表の坂手淳史選手に似ている。「去年のワールドカップの後からよく言われるようになりました」とはにかむが、ポジションも主将という立場も重なる坂手選手に、必然と将来像も重なってくる。

 

次戦は、強敵・深谷高校。スタンドオフの安藤選手は、1年生時に深谷高校に負けた3年生の先輩を見て『僕たちがリベンジを』と機を伺っていた。昨年は深谷と対戦することは出来ず、いよいよ2年越しにリベンジするチャンス。「深谷に対してすごいリスペクトがある。だからといって下手には出ず、堅実に戦いたい。」

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朝霞高校のチームスローガンは「一蓮托生」。その言葉通り、全てのプレーを共に喜ぶ選手たちがいた。

ピッチ上からも、ベンチサイドからも、明るい元気な声が最後まで聞こえた。実は今成監督が同校に赴任して数年は、強豪校と同等の厳しい練習を重ねていた。しかし、時代の流れか校風の違いか。途中で退部する生徒が続出。そこで3年目に方針転換を行い、メニューも生徒たちで考えて練習をすることにした。

すると効果てきめん。退部者は大幅に減り、選手たちは活き活きとプレーするようになった。その象徴が、後半11分のトライ。相手キャプテンもマークしていた14番の垣見選手が、次々に相手を交わして30m走り切った。

ベンチで写真を撮っていたマネージャーたちも、声を上げて喜ぶ。一蓮托生。本気で王者に向かった、良いチームだった。

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試合後のコメント

浦和 山本義明監督
「ディフェンスで2本取られてしまった。もう一度、武器であるディフェンスを作り直したい。」

浦和 金田選手(13番)
「ディフェンスの要となる12番に合わせてバックスのコミュニケーションを取れたことが良かった。次戦は僅差になると思うので、コンバージョンの差で負けないようプレイスキックもしっかり練習していきたい。」

朝霞 今成卓也監督
「よく頑張りました。やってきたことが出せたので、良い顔でプレーできたのではないか。」

最後のノーサイド

朝霞 今成監督から、選手たちに向けてのメッセージ
「3年生は、3年間本当にお疲れ様。(下級生に対しては)自分たちがどういう方向でプレーしたいのかまずは決めること、それに合わせて練習を重ねます。」

朝霞 新井聡里キャプテン(9番、3年生)から、準決勝に進んだ浦和に向けてのエール
「チームメイト全員楽しんでプレーできた。浦和には、昨年の記録を越えられるように頑張ってほしい。」

浦和 山際キャプテンから、朝霞へのエール
「昨年も対戦し、注目プレーヤーは心得ていた。それでもウイングの選手たちにトライを取られてしまった、上手かったです。今年も朝霞に勝つことが出来たので、しっかりと花園出場を手にしたい。」

 

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