試合展開
流経:白金ジャージ、中央:青ジャージ
流経にとって、今年は単なる1シーズンではない。背中に『R.I.P HIROKI YUHARA』を背負って戦う、特別なシーズンだ。
偉大な先輩・湯原祐希氏が逝去したと報じられたのは、開幕戦直前の9月末のことだった。突然の訃報に、監督も選手も「ショックだった」と口を揃える。とりわけ内山監督にとっては、監督就任時のキャプテン。「監督と選手、という関係性を超えていた。同志が亡くなったような感覚」と振り返る。現役を引退し、これから指導者として素晴らしい歩みを進めると期待していただけに、悲しみも深い。
選手たちは「今年、絶対にリーグ戦を優勝する」と決めた。湯原さん追悼のためにも、必ず優勝を届ける。
そんな強い想いを、存分に表現してくれたこの試合。
序盤こそ、自陣・敵陣を行ったり来たりの苦しい時間帯が続いたが、前半20分に1stトライを奪ってからは前半4トライ・後半6トライ。あわせて10トライの猛攻だった。
後半から投入された23番イノケ・ブルア選手は、ハットトリックを決める活躍。最後よもやの4トライ目か、という場面もあったが、4トライ目をお膳立てしようとパスしてくれた10番・荒木龍介選手に向かって、インゴールから「恩返しのパス」でトライをアシスト。仲間内の信頼関係が垣間見えたシーンだった。
相対した中央も、格上のチーム相手に最後まで声を出して戦う姿勢を崩さない。どれだけ劣勢になろうとも、ベンチからは仲間を鼓舞する大きな声が響き続ける。後半31分、強みであるラインアウトモールから1トライを奪ったこと。それが次戦への励みとなる。
めっきり秋めいた文化の日。試合後半には一層冷え込んだが、今シーズン初めてファンの人たちの前で戦った両チームを最後まで応援しよう、と観客席は温かい拍手が最後まで鳴り響いた。
試合終了後、記者会見の開始を待つ流経・坂本キャプテン(左)と、この試合のMOMだった中西選手(右)