響が作ったドラマチックな試合 慶應義塾大v帝京大【関東大学対抗戦Aグループ 第7週】

80分の物語

慶應義塾大:黄黒ジャージ、帝京:赤ジャージ

試合後、慶應の栗原徹監督はこう語った。

「響が作った、ドラマチックな試合。」

響とは、慶應義塾大学に今年入学したルーキーながら、対抗戦全節でフルバックを務めた山田響選手のことだ。


フィールドプレーで大活躍した慶應15番・山田響選手

 

「ドラマチックなエンディング」を迎えるまでの80分間。

トライを取っては取られ、またペナルティを奪っては奪われ。互いに苦しい時間帯がありながらも、スコアは最大でも10点までしか開かない、引き締まった試合展開だった。

 

その要因としてあげられるのが、ブレイクダウンと呼ばれる「タックル後のボール争奪戦」にある。強力なフィジカルが武器の帝京に対し、慶應は膝元と胸元へ2人で激しくダブルタックルを見舞ってボール奪取を試みる。グラウンドにいる選手たちからも「ナイスブレイクダウン」との声が聞こえた程、この試合のブレイクダウンは、両校ともにとてつもなく高レベルで激しいものだった。


帝京のボールキャリアに対して、慶應は3人でタックル。もちろん帝京にもサポートの選手が複数いる

 

アタック面においては、躍動した帝京のバックス陣に対し、FWを中心とした慶應のモール戦術というコントラストがはっきりしていた。

帝京の13番・尾﨑泰雅選手がばっちりとタックルを決めれば、14番ミティエリ・ツイナカウヴァドラ選手は強力なフィジカルでボールを前に運び、15番・奥村翔選手も次々にゲインラインを切る。

圧巻だったのは、後半8分のトライシーン。

13番の尾崎選手が敵陣22m付近でボールを受け取ると、内へのパスコースを探しながら大外に残っていた14番ツイナカウヴァドラ選手へ、「ノールック」で「バックフリップ」の「オフロード」パス。スペシャルプレーのてんこ盛りに、会場中がどよめいた。


前半28分、帝京13番・尾﨑選手のトライシーン

一方の慶應は、得意の「モールを起点としたトライ」で3本奪う。ハーフウェイ付近で奪ったペナルティの多くを敵陣深くに蹴り込み、ラインアウトからモールを形成。最後の逆転トライも、この方程式で奪ったものだった。

ラインアウトからそのままモールを作り、崩れてはラックに。もう一度リモールで進んでラック、リモールでラック。3度モールを組んだ後、最後は7番・山本凱選手が押し込んだ。


帝京はFW・BK一体となって必死に慶應のモールを止める

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