政府より発出された緊急事態宣言を受け、日本ラグビーフットボール協会(以下JRFU)の対応について1月8日、岩渕健輔専務理事がメディアに向けて説明した。
改めてわたしたち観客側の行動についても、それぞれで考えていきたい。
今後のJRFU主催試合について
試合実施有無について
- 現状予定されているJRFU主催試合は、すべて予定通り開催
- 既に無観客が決定している試合(第51回全国高等専門学校ラグビーフットボール大会、第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会など)については、無観客のまま実施
- 有観客でチケットが既に販売されている試合(第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝、ジャパンラグビー トップリーグ2021のファーストステージ第1~4節など)については、既に購入済み分は有効。緊急事態宣言のイベント規制対象外として、有観客にて実施(1月8日時点)。ただし、希望者にはチケットの払い戻しも受け付ける。公式HPにて準備が整い次第公表予定
- 有観客でこれからチケットが販売される試合(ジャパンラグビー トップリーグ2021のファーストステージ第3節一般販売以降など)については、1日1日変化する状況に適宜対応しながら、政府・自治体の要請を遵守し実施(1月8日時点では、会場収容人数の 50 %を上限に最大 5,000 人で検討。様々なオプションを用意した上で、全ての皆様の安心・安全を確保することを第一に今後必要に応じて無観客という判断に変化することもあり得る)
試合会場内での観戦対策について
- 会場内での飲食可否について、11日大学選手権決勝分を最終調整中。試合までには何らかの形で周知される
- トイレやコンコース、入退場時の密集については協会としても危機感を持っている。対応を検討中
岩渕健輔専務理事より
まずはじめに、医療従事者のみなさま、ソーシャルワーカーのみなさまに感謝いたします。誰もがそう願っているように、少しでもこの状況が改善されることを望んでいます。
ラグビーそのものの活動意義について考える1年でした。
1人の人間として、スポーツ界に携わる人間として。この1年「スポーツとは、ラグビーとは」と自問自答してきました。
実はこの会見をする前、セブンズ男女日本代表候補や選手会のメンバーと直接話をしました。いろんな意見がありました。このような状況下でラグビーをすることに悩んでいる選手もいました。
ですが選手の多くは、特にトップリーグで戦う選手たちは、いろんな状況が起こりながらも前を向いて戦っていきたい、という気持ちが強いです。それは今年が最後のトップリーグであること、また昨シーズン途中で中止となったり、他競技はシーズンを全うしたりしていることなどが理由としてあげられます。グラウンドで戦う選手たちがいなければ、ラグビーは成り立ちません。
ラグビー協会のスタンスとして、政府・自治体の要請を遵守すること、ガイドラインの遵守を第一に考えたいと思います。
その上で、今回の緊急事態宣言の内容は、ラグビーそのものの活動が制限されるものではありません。ラグビー・スポーツ界が置かれている社会的・文化的価値を鑑み、不要不急には当たらないと考えています。
緊急事態宣言下でも最大限の感染症対策を施しながら、様々な方々からご支援を頂きながら、大会を運営していきたいと思います。
特に高校・大学生にとっては、集大成・最後の舞台となります。試合直前ということもあり学生たちとは話が出来てきませんが、一人ひとり社会の一員として、今回の経験を今後の人生に活かして欲しいと願っています。
スポーツは、ラグビーは、ファンの皆様の応援があってこそです。応援がなければできません。
このような状況下でスポーツを実施することに対する様々なご意見はあると思います。ですが2019年のラグビーワールドカップで日本代表がOne Teamで乗り越えたように、協会が一方的に決めるのではなく、選手・チーム・ファン・施設管理者や自治体など全ての関係者の方々のご協力を頂きながら、乗り越えていきたいと考えています。
森重隆会長より
新型コロナウイルス感染症の1日も早い収束にむけて、ラグビー界一体となって努力してまいります。現時点にて私共で確認しているラグビー界における集団感染に関しましては、ラグビー競技やトレーニングそのものでの集団感染はなく、寮生活などにおける集団生活の中で生じたものと認識しております。今後も各種活動において感染防止策を徹底していくことで、安心、安全なラグビーを継続実現していきたいと考えております。
ファンもOne Teamの一員として
とある試合を取材した帰りのこと。(日時や場所、試合カテゴリーは控えるが、直近1ヵ月程の間に有観客で行われた公式戦後、とだけ記しておく)
試合後の記者会見を終えると、一般の観客の方々よりも帰路につくのが遅くなる。
ふと、スタジアム近辺のいわゆる「ラグビーファン御用達の飲食店」を見上げると、そこにはある程度人数の集まった、ある程度年齢を重ねられた方々の談笑する姿があった。
残念ながらわたしが見たその一瞬では、マスクをされている方はほとんどいらっしゃらなかった。
果たしてそこで何が行われていたのか、またラグビーと関係のある集まりだったのかどうかは全くの不明だ。
だけれども事実として、ある程度の人数が集まった何らかの会合が、試合後の時間帯にラグビー場近辺で行われていた、ということがある。
協会やチーム関係者だけが頑張っても、どうしようもない。
岩渕専務理事が話したように「ラグビー界がOne Teamとなって」試合・大会を成立させる努力をしなければならない。
会場内のたてつけは、主催者が工夫を凝らす。
会場内での行動と、会場に行く前・帰宅時の行動は、各々が最大限の努力をする。
わたしたち自身にも「One Teamの一員」として規律ある行動が求められる。