読谷と書いて『よみたん』と読む。
ラグビーファンには、ぜひこの村の名前を覚えて欲しい。
人口4.1万人超の沖縄県・読谷村は、日本で一番人口の多い村。※2021年11月現在
地域ごとに分かれた運動会が村の恒例行事で、うち1種目はラグビーだ。
だから、ラグビー経験者でなくても、ラグビーの試合に出たことがある村民は多い。
いささか不思議な街、いや村が読谷だ。
そんな村にある唯一の高校が、花園初出場を目指す沖縄県立読谷高等学校である。
学校での練習風景【写真提供:読谷高校ラグビー部】
村全体で子どもを育てる文化がある。
だから今春初めて選抜大会に出場した時も、通りすがりの方から「頑張ってね」と声を掛けられた。
春の第22回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会に、夏の第8回全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会。
初めて経験した全国の舞台は、どれも収穫が大きかった。
「選抜で対戦した茗溪学園(茨城県代表)は、九州大会では経験しないようなタイプのラグビーでした。当たって良かった」と言うのは、司令塔でありキャプテンの島袋世良(しまぶくろせら)選手。
パススピードもテンポも全然違った、という。
だからより試合を想定した練習が出来るようになった。
ラストワンプレー、インゴール際での攻防を想定したアタックとディフェンスの練習。
ランメニューですら、「今、後半10分くらい!」と試合時間を頭において走る。
「県内大会を圧倒するのは当然。僕たちは、花園初出場での年越しを目標にしています。」
今年の読谷高校ラグビー部は、例年に比べ格段に体が大きい。
コロナ禍ということもあり、家でも出来るフィジカルの強化にひたすら務めた。
高校入学後に20㎏近く増量した選手もいるという。
一方で、課題は練習相手がいないこと。島特有の問題でもある。
第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会の沖縄県予選に出場するのは、僅か6チーム。他県との練習試合も、簡単に組めるものではない。
だからそこは読谷らしく、地域特性を活かすことにした。
読谷高校OBを中心に結成された青年チーム・シーサークラブを筆頭に、読谷高校、中学生、小学生チームと続くラグビーピラミッドを作った。
同日に同会場で、女子チーム含め様々なカテゴリーが同時に練習する。3年程前からこの関係性がより強固になった、と監督は話す。読谷高校でラグビーを続けたい、と希望するジュニア世代も増えてきた。
そして読谷高校ラグビー部にとって大事な試合の前には、フロントローの総体重が400㎏を超えるシーサークラブの面々が胸を貸す。
「選抜大会では、一度もスクラムで負けなかった」と自信を見せた背景には、そんな理由がある。
監督を始め、コーチやフィジカルトレーナーも皆、読谷村出身で読谷村在住。
全てがMADE IN YOMITANだ。
練習の最後は、グラウンドへの挨拶で締め括る
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