東京オリンピック2020ラグビー男子日本代表 オンライン合同インタビュー vol.1

加納遼大選手

日本代表として出ることが決まり、落選した人の分まで背負わなければいけない、ということを感じるようになりました。良い雰囲気で練習出来ていると思います。

ーー残り1ヵ月、大事なことは何でしょう
チーム力を上げ、つめていくことです。

ーーポジションは
スクラムハーフとSOです。パスも・ランもできるしゲームメイクもできる『オールラウンダー』としてやっています。中でも一番の強みは、「ここを絶対に取らなきゃいけない」というプレーで冷静にキャラクターを見て判断できる能力です。

ーー4月に行われたドバイ大会では良いプレーがたくさん見られました
余裕を持ってプレーできたことが自分でも分かります。周りを見てプレーできたことが一番の成長かな、と。

僕に求められるのは、ゲームメイク、どのようなプレーを選択するかという判断です。考えなければいけないことがたくさんあるので、昔はいっぱいいっぱいだったが、いまは余裕を持ってプレー出来るようになりました。ドバイでは岩渕さんから「メンバーに入る入らない、ということを考えるのではなく、チームを勝たせるにはどうしたらいいか考えろ」と言われていました。ゲームメイクをしなかったら信頼を失うという緊張感はありましたが、褒めてもらうことも多かったので僕にとって東京オリンピックの1年延期はプラスだったと思います。

ーー彦坂選手と加納選手がチームのムードメーカーですね
(彦坂)マサさんが引き立たせてくれています。ムードメーカーの加納は、マサさんなしではいません。

ーー12人に選ばれなかった選手たちも、練習相手として合宿に参加する場面があります
セブンズをやり始めて4・5年。ずっと一緒にプレーしていたメンバーもいて、本当の家族のようになっていた人たちが落選する姿を見ていると、彼らの分まで背負わなければならない、と思います。

国際試合が出来ない中でワールドレベルの選手たちと出来るのは貴重な経験。プレッシャーから開放され、活き活きしてプレーされている感じがしますね。僕たちは下手なプレーもできず、良いプレッシャーとなって切磋琢磨できています。

ーー会社の人たちからは連絡があったのでしょうか
めちゃめちゃ喜んでもらえました。新卒採用面接などを担当する時期もありましたが、2年前くらいからは東京オリンピックに集中する環境を作ってもらっています。

ーー東京オリンピック後のキャリアについて、どう考えているのでしょうか
ラグビー選手としてのキャリアは一昨年ぐらいからずっと考えています。ただ東京オリンピックという存在が大きくて、それが終わらないとイメージがつかない。今は一旦考えるのをやめて、オリンピックが終わったら考えようと思っています。

15人制に行くことがないとは言い切れませんが、希望としてはセブンズをやり続けたいです。

ーー会社員の加納選手から見て、岩渕HCの仕事ぶりはどのように見ていらっしゃいますか
大変そうすぎて岩渕さんは2人いるんじゃないか、とみんなで話しています。本当にお忙しいので、体力もメンタルも強い方なんだと感じますね。

ただ、セブンズに居る時はセブンズだけにシフトしてくれています。マルチタスクをこなしているような忙しい素振りは見せない方です。

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岩渕健輔ヘッドコーチ

ーーセブンズ経験の長い選手たちが落選しました
7人制を長く支えてきた選手たちの存在は非常に大きいですし、チームの助けになることは間違いありません。チームにとってどの組み合わせが一番良いか考え選考しました。全ての選手が、今のチームには必要です。だからこそ今でもバックアップメンバー踏まえた16人でトレーニングしています。これまでに外れた選手たちも、今回の合宿にも対戦相手として来てくれることになっています。

東京オリンピックはあくまで一つの大きなイベントです。この後もセブンズラグビーは続いていきます。そういう意味でも支えてくれた選手と一緒に、スコッドから外れたからといってチームの助けにならないわけではありません。

前向きな気持ちでセブンズに取り組んでくれていますし、これからもそういう選手たちで在って欲しいと思います。

ーー1人が複数ポジションを練習していますね
これまで、1人に負荷が掛かったがために崩れることがありました。そういう意味で、マルチポジションというのは大事にしています。

ーーリーダー陣について
キャプテンは松井、バイスキャプテンは本村とブラッキンの2人で3名体制です。そもそも12人しかいないので、12人全員がリーダーとして振る舞う必要があります。

ーー定山渓で合宿をすることについて
2018・2019年といろんな対策をしました。どのタイミングで暑い所でやるのか。過去2年間のシュミレーションを踏まえ、ずっと暑い場所でやるのは得策ではないと思いました。周りの雑音がない所で集中してチームを作り、暑さへの適応は3週間前から。

試合強度、パフォーマンスレベル、体重増減、発汗量、食欲、睡眠などを分析して、今回の結論に至っています。過去2年間やってみて、今回の形がベストでないかという結論です。

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ーーオリンピックについて様々な意見があります
前々回の合宿で、オリンピックについて考える時間を持ちました。世界中の方々が難しい1年を過ごし、トレーニング・試合が出来ていることが幸せなことです。

なんのために代表チームとして試合をするのか、オリンピックとは。みんなで言葉を交わしました。

アスリートという立場で出来ることをやり、グラウンドの上で表現すること。残り30日努力をして、オリンピックでパフォーマンスしよう、と話をしました。

ーー感染症対策について
2020年6月から代表活動を再開して1年強。感染症の先生についてもらい、ルールを厳しく設定して実施しています。

オリンピックまで残り30日、感染しない保証はありません。いままで以上に基本を徹底することが全てだと思います。

ーー定山渓合宿後、オフを挟んで東京で再集合します
セブンズは14分で終わる競技です。1つのミス、ペナルティが大きく勝敗に関わります。1人シンビンになってしまうと、14点を覚悟しなければなりません。

そういった意味でも、グラウンド外で規律高い行動が出来なければ、グラウンドで規律高い行動は出来ません。一つのオリンピック競技としてラグビーがあるので、国を代表するアスリートとして戦う、生活する必要があると感じています。

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