昌平高校
「勝ち試合を落とした。」
昨シーズン限りで監督を勇退した御代田誠氏は、試合後開口一番厳しい言葉を発した。
その言葉の意味を誰よりも理解しているであろうピッチに立つ選手たちは、ノーサイドの笛が吹かれた瞬間グラウンドに膝をついた。
試合前、明るくチームを盛り上げる声は響いた。
良いタックルも、良いゲインも、良いトライもあった。
試合最序盤、自陣で何度も守り切った昌平らしいディフェンスだってあった。
最初は堅く入り、相手が崩れ始めた所で外に回して取り切る予定だった。
だが、自らのミスとペナルティで流れを掴むタイミングを逸してしまう。
1年次から試合に出ている12番・平岡勝凱選手は「戻りの遅さ、基本のプレーが響いた」と話す。
「昌平の今の課題は、最初は気合い高く試合に入れるも、次第に落ちてきてしまうこと。」
関東大会予選までの間に何をしなければならないか、選手たちは理解していた。
この試合ウォーターを務めたのは、前キャプテンやバイスキャプテンら既に進路が決定している3年生たち。
心強い味方がそっと後ろから見守り、時にはアドバイスを送る姿は、なんとも新人戦らしい光景。
それでも、この試合1度もリードを奪うことは出来なかった。
ベンチから指示が飛んだ選手にも「悪くないよ」と声を掛けた北川前主将
勝負が決まった最後のスクラム。
「フッキングミスで相手の方に出てしまった」と俯き目で話したのは、3番・植松進之輔選手。
「キープ出来ていたんですけど。押せばよかったな、って今になっては思います。」
一つ一つの経験が貴重な、まだ新チーム1か月目。
後藤慶悟・新監督にとっても、厳しい船出となった。
「前半最序盤のラインアウトをスティールした場面は、練習が活きた所。相手のラインアウトを研究した成果は発揮出来た。そこで我慢は出来ていたんですけど・・・最後のスクラムだけ、あそこだけです。」と悔しさを滲ませる。
誰だって、最初からうまく行ったらストーリーは生まれない。
ここから、地に足のついたチーム作りが始まる。
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