東海大大阪仰星高校が選抜で掲げた目標は、もちろん「優勝」。
だけれども、大事にしていたのはその過程にあった。
「まだこれから長いシーズンが続いていくので、自分たちの現在地をしっかりと知ること。そして自分たちがどこまで全国で通用するのか、ということを、この大会を通して知れたらなと思ってます。(湯浅大智監督)」
準々決勝の相手は、神奈川県代表・桐蔭学園。
前半は5-5の同点。後半、風下で逆転負けを喫した。
敗因について、CTB大畑咲太選手は「試合前の準備段階にあった」と話す。
「桐蔭学園さんが強いことは分かっていた。それに対して、ミーティング中、練習中のみんなの取り組む姿勢が勝利に値していたかと言われたら、それは準備出来ていなかったと思います。」
松沼寛治キャプテンも「自分たちの実力、経験不足」と言葉少なに続けた。
今日、自分たちは全国で全然通用しないことがわかった。もう一度一から、ラグビー以外の部分でもこだわりたい。まずはサイズアップ。そして夏をしっかり乗り越えて、冬に向かって成長していきたい。
キャプテンとしての全国初陣は、悔しいベスト8。
「色んな部分で細かく突き詰めてやらなければいけなかった。伝え方だったり、自分で表現する部分だったり。みんなに浸透させきることが出来なかった。
ラグビーで大事なのは、心は熱く、だけど頭は冷静に。今日だったら、敵陣でペナルティをもらったらショットを狙ってもう一回仕切り直し、というオプションも考えられたなと今になっては思います。」
一つ一つが、勉強である。
昨年度も同じように春は敗れ、そして冬に全国制覇を果たした。
「去年の熊谷で、ピッチ上で味わった悔しさを自分自身は知っている。そこからどう去年のチームが歩んでいったか、ということはチームに伝えていきたいが、去年の真似事をしていても絶対に冬(優勝には)届かない。去年を超えることがマストです。(松沼キャプテン)」
そのためにも、まずはこの敗北をチーム全体でしっかりと受け止める。
「熊谷に来ている30人だけでなく、大阪で待ってくれているメンバー含め全員が一丸となって、1からチームを作り直すところからやっていきたいと思います。(大畑選手)」
憧れの選手は、1学年上で同じポジションを務めていた中俊一朗先輩。インタビューを終えると「ありがとうございました」と深く頭を下げた。礼儀を重んじる仰星らしいセンター
熊谷でスタート地点を知った東海大大阪仰星高校ラグビー部。
在りたき姿に辿りつくために。
今、その道のりが描かれた。
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