「面白かったでしょ、うちの試合。」
これは1年前、シーズンエンドとなる試合を戦った直後に、横浜キヤノンイーグルス・沢木敬介監督が口にした言葉である。
昨シーズンの準々決勝カードである、横浜キヤノンイーグルス 対 埼玉ワイルドナイツ。この時は17-32と敗れてはいたが、イーグルスの面々はどこか充足感を漂わせていた。
(昨季準々決勝の模様はこちら)
それが、約1年後のこの日は「悔しい」の一言。
チームがいかに充実したシーズンを送っているか。そして目指すラグビー、順位に近付いているか、ということが伝わる。
前半は17-3と14点のリード。それでも後半、埼玉ワイルドナイツに4トライ計30得点を奪われ、悔しい逆転負けを喫した。
「前半でああいうゲームをしたら、本当は勝たなきゃいけない試合だった。こういう経験が今のイーグルスにとって、強くなる過程において、必要なのだとポジティブに捉えます。」
そして最後に、幾分強めに、付け加えた。
「この悔しさを、まじあと2試合にぶつけます。」
プレーオフ進出に向け、負けられない戦いが続く。
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埼玉ワイルドナイツはこれで12連勝。勝点を52点とし、リーグ戦4位以上を確定させた。
ディビジョン1 リーグ戦上位4チームに進出権が与えられるNTTジャパンラグビー リーグワン2022プレーオフトーナメントへの出場が決定した。
試合後コメント
横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
前半でああいうゲームをしたら、本当は勝たなきゃいけない試合だったと思っています。
こういう経験が必要なチームだとポジティブに捉えたいですが、もっと組織としての核が必要だなと思いました。
何というか、チャンスに怯えていた。
堂々とプレーしているのに、勝てるとなった時の大胆さや勇気、そういう所じゃないかな、と思います。
前半は崩せていたし、あと1トライ取れるチャンスもあった。自分たちから手放したようなゲームだったと思います。
下を向いていても仕方がない。
自力でのプレーオフ進出はなくなったが、残り2試合で全部5ポイントを取って、そして自分たちの出来ることを全部やって、準備していきたい。
何回も言っていますが、こういう経験が今のイーグルスにとって、強くなる過程において、必要なのだとポジティブに捉えます。
この悔しさを、まじあと2試合にぶつけます。
圧倒的なチームの求心力が先発復帰。試合中も声を出し続け、トライを取られた時には「勝つ試合なんだから!」と仲間を鼓舞した
田村優キャプテン
ホームゲーム、ここで試合が出来ることは嬉しいです。
試合については、準備してきたけど準備が伴っていなかった、と思います。
この結果に悔しさはあるが、そういうことを感じられるチームであること、力が付いてきたことは間違いない。
それでも前半あれだけのパフォーマンスをして、こういう結果になるのはラグビー人生でも初めて。
何がどうなっているのか分からないんですけど、こういう試合を勝ち切ることの訓練は必要だと思う。次こういうチャンスがあれば勝てるようになりたい。
とは言え、今シーズンこんなことをずっと話している。変われる所は変わっていかなきゃいけないと感じています。
でもあとちょっとの所まできているので、そこはチームメイトを誇りに思います。組織としても成長しているので、次にこういうチャンスがあれば、この経験を活かしたいと思う。
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
前半40分は最も難しい時間帯。どのチームも勢いを持って挑んできます。
そんな相手チームのエナジーを吸い取ってくれる役目が、先発の15人。彼らの素晴らしい役割に、満足しています。
坂手淳史キャプテン
前半はやりたいことがほぼ何も出来なかった。だからハーフタイムには「最後の40分で勝たなきゃいけない。試合終了のホイッスルが鳴った時に1点でも上回っているために、それぞれの役割を全うしてプレーしよう」と伝えました。
役割というのが、埼玉ワイルドナイツでラグビーをする上で大事な要素。
一人ひとりが役割を遂行出来たからこそ、このような結果に繋がったと思う。本当に今日は23人、そしてチーム全体を誇りに思います。