合言葉は「先生を男にしよう」昌平が3年ぶり2回目の全国出場権獲得|第9回全国高校ラグビー7人制大会 埼玉県予選

準々決勝

昌平×熊谷

熊谷が先制トライを奪ったが、直後のキックオフレシーブからカウンターを仕掛けノーホイッスルトライを決めたのは昌平。すぐさま同点に戻し、33-19で勝利した。

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所沢北×深谷

国体予選に続きベスト8に進出した所沢北。前日に行われた1次トーナメントでは、浦和に勝利し決勝トーナメント進出を決めていた。

だがディフェンディングチャンピオンの壁は厚い。深谷が4連続トライを奪って主導権を握ると、終始試合をコントロール。しかし試合終了間際に所沢北がラックのショートサイドを突いて1トライを返し、7-20。深谷が準決勝進出を決めた。

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川越東×早大本庄

春の埼玉王者は落ち着いていた。

試合開始早々ターンオーバーを許すが、すぐさまプレッシャーを掛け早大本庄のミスを誘う。自陣22mからのラインアウトを落ち着いて展開すると、そのまま土居泰介キャプテンが走りきってファーストトライ。26-0で完封勝ちを収めた。

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慶應志木×熊谷工業

慶應志木6番のビッグゲインからボールは繋がり、トライが生まれると前半を慶應志木が7点のリードで折り返す。

しかし後半トライを重ねたのは熊谷工業。機動力のあるプロップ・篠﨑優元キャプテンの力強いボールキャリーで後半慶應志木を0点に抑えると、14-26で熊谷工業が準決勝進出を果たした。

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コンソレーション

熊谷×所沢北

先制トライは所沢北。しかし直後、熊谷にノーホイッスルトライを許すと、徐々に点差は開き31-10。熊谷が最終戦を勝利で終えた。

***

所沢北・萩野谷直哉キャプテンは、ターゲットとしていた浦和戦に勝利してのベスト8入りを笑顔で振り返った。

「昨年の花園予選で浦和高校に敗れ先輩たちが引退し、今年の関東予選でも1トライ差で敗れベスト8に進むことが出来ませんでした。そこから浦和高校に対してリベンジという気持ちがあったので、この組み合わせが決まってから、浦和高校に勝つことに照準を合わせてきた。昨日は勝つことが出来て本当に嬉しかったです。」

部員31人全員が高校からラグビーを始めた、超初心者軍団。萩野谷キャプテンも中学まではサッカー部に所属していた。かつて埼玉県ベスト4の常連だった時代にも、高校からラグビーを始めた選手がほとんどであった所沢北には、初心者チームのマインドが流れている。

「今年のスローガンは『超越』です。過去の自分たちを超えること、そして自分たちが入学以降叶わなかった県大会で勝つことを目標に、FWリーダーの金子が付けました。」

目指すは、15人制での県ベスト8。

「普段の練習から全員で意識高く、徹底することに難しさを感じています。全員にどうやって本気で頑張らせることが出来るか、というのが最近の課題。これから夏に掛けて全員に浸透させ、花園予選でベスト8を達成したいと思います。」

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早大本庄×慶應志木

高校の都道府県予選で早慶戦が行われるのは、埼玉県だけ。

互いに柔らかいベンチの雰囲気が特徴である2校が対戦すると、試合序盤から早大本庄が圧倒。勢いそのままに戦いをリードした早大本庄が、45-0と慶應志木を圧倒し早慶戦を制した。

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準決勝

昌平×深谷

先制は昌平。3トライ先取すると、流れを掴んだ。

しかし前年度王者の深谷も黙ってはいない。前半1本返し折り返すと、後半最初のトライも深谷。17-12と1トライ1ゴール差で最終盤を迎えた。

しかし、最後に取り切ったのは昌平。22-12で、昌平が接戦を制した。

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川越東×熊谷工業

試合開始直後からトライを重ねたのは川越東。西ヶ谷昂バイスキャプテンの2連続トライなどでリードを広げると、前半を24-7で折り返した。

後半は選手を入れ替えながら両チーム戦うが、川越東の勢いは衰えずスコアを伸ばす。

ラストワンプレーで魅せたい熊谷工業は、自陣22mでの相手ボールスクラムになるとフォワードを交代させ1・2・3番で揃えた。すると、相手ボールスクラムを捲る。

そのままボールを獲得し陣地を進めれば、最後は篠﨑キャプテンが1人抜けて意地のトライ。45-12、川越東が決勝進出を果たした。

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決勝

昌平×川越東

「勝ってこい!」の声とともにピッチインした昌平の選手たち。

「勝つぞ!」の掛け声で、円陣を解いた。


気温も30度を超え、早くもポータブルミストが活躍する季節になった

試合は川越東の先制トライでスタートする。

キックオフからプレッシャーを掛ければ、2連続でペナルティを得た川越東。土居キャプテンがクイックタップでスタートすると、10番・西ヶ谷バイスキャプテンがトライを奪う。

昌平も負けてはいない。ゴール前で粘れば、1年次から活躍する平岡勝凱選手が5点を返した。

すると同じく1年次からレギュラーの川越東・土居キャプテンも負けじとタッチ際でビッグゲインを見せる。しかしここは昌平のディフェンスが追いつきタックルを見舞えば、ターンオーバーに成功した。昌平はそのまま一気にボールを繋ぐと、廣内颯選手がトライ。ゴールも成功し12-7、昌平が5点のリードで前半を折り返した。

真夏日のセブンズは体力を奪う。なんと両チームのキャプテンが、前半のうちに負傷交代を余儀なくされた。

「昨日の疲れは一切見えない程リカバリー出来ていた。今日も準々決勝、準決勝と選手を交代させながら迎えられた決勝だったが、キャプテンの土居がいなくなった途端に崩れてしまった」とは川越東・望月雅之監督。

歯車をかみ合わせるピースを失った川越東は、徐々に流れを失っていく。

一方の昌平は、キャプテンを欠いたことで逆にまとまりを見せた。

セブンズチームのキャプテンを務める濱田匠選手は、ベンチに下がった後も相手のディフェンス枚数を伝え続けるなど、ピッチに立つ7人を後押し。

「声を出すことぐらいしか出来なかったですが、キャプテンとして規律の部分、士気を上げることに貢献出来たかなと思います。皆を信じて応援が出来た。全員で戦うことが出来ました。(濱田キャプテン)」

後半は、ひとつひとつのタックルで盛り上がりを見せた昌平が先行してトライを重ねる。

試合最終盤、落ち着いてボールをキープし、DFのギャップをついてトライまでボールを運んだのは廣内選手。ダメ押しの5トライ目で勝負を決めた昌平が、31-14で3年ぶり2度目の全国大会への切符を手にした。

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「何となく『勝つのかな』という雰囲気を自分たちで作っていたと思います。疲れてはいたけど、決勝戦では同じ方向を向いて『もうやるしかないでしょ』と振りきることが出来ていました。」

そう話すのは、自身2度目の監督務めた船戸彰氏。昌平高校ではコーチがセブンズチームの監督業を担うのが習わしだ。

「強いチームはベンチからよく声が出ている、ということを関東大会での流経大柏を見て選手たちも学んだようで、今日は選手たちから『声を出してもいいですか?』と聞いてきました。3年生たちが上手くリードしてくれていたと思います。助けられました。」

関東大会での課題だった、同じ絵姿を描くこと。それがこの日は、全員が同じ方向を向くことが出来たと喜ぶ。

「前回全国大会に出場した時には、予選トーナメントで1勝も出来ず、ボウルトーナメント13位という結果に終わりました。今年はどこまでやれるか、チャレンジしたいと思います。(船戸監督)」

「素直に嬉しいです。」

セブンズチームでキャプテンを務める濱田匠選手(チームではバイスキャプテン)は、嬉しそうに微笑んだ。

事前に練習試合を経験してはいたが、公式戦では異なる疲労や緊張もあった。それを全員の力で勝ち切った1日目。

2日目の決勝トーナメントでも、先制点を取られるゲームが続いた。それでも1人でアタックをし単調な攻撃になりがちだった部分を修正し、決勝戦ではチームでのトライが多かった、と喜ぶ。

 

この大会に掛ける意気込みもひとしおだった。

新人戦で川越東に敗れ選抜大会への出場権を逃し、関東大会では「悪い所が全部出た」試合を経験した。だから「ここで絶対に取り返して、船戸先生を男にしよう」とみなで結束し、挑んだ大会だった。

ベンチからサポートしていた仲間、そしてマネージャーにも、そんな悔しい日々を振り返っての想いが込み上げていたのだろう。表彰式では、じっと涙が溢れる。

「自分たちの代としては初めて経験するセブンズの全国の舞台。残り1ヵ月しっかりと準備をして、良い結果を出せるよう今まで以上に気を引き締めたいと思います。」

秋、冬へと繋がる夏が、もうすぐやってくる。

「今日の勝利はみんなのお陰です。」と喜んだ濱田匠選手(写真左)


試合終了の瞬間、チームキャプテンの橋口博夢選手もチームメイトを讃えた

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