筑波大学
前半終了直前、相手主将に意表をつかれトライを許した。
23-0。
気落ちする仲間に向かって、木原優作キャプテンはスコアボードを指差すと「3トライ3ゴール1PGで逆転出来るんだ」と語り掛け、円陣を解いた。
試合開始早々、流れを明け渡した。
キックチャージからトライを奪われると、自分たちのペナルティで3つの3点を献上。
それでもインゴールを背負ったブレイクダウンではファイトし、いくつもピンチを切り抜けた。
だからハーフタイムでは「もう一度、自分たちが目指したゲームプランに戻ろう」と口にした木原キャプテン。
筑波が目指すラインアウトからの攻撃の形を、追求した。
後半最初の得点機を逃し自陣に帰ると、10分程自陣ゴール前に張り付きとなる。しかし粘り勝てば、スコアを与えず切り抜けることが出来た。
そこから怒涛の3連続トライは、全てラインアウトモール。
先発フッカー、ウイング、リザーブフッカーとスコアラーは全て異なるが、「バックス入れ!」の掛け声とともに推進力を増したモールは、一気にゴールラインを割った。
やりたかった攻撃の形で3トライ。しかしそこに至るまでの過程は様々だった。
11番・大畑亮太選手が魅せたのは、快速を活かしたロングキックへのチェイス。はるか後方から全速力で走り込んでくるスピードは、2週連続でチームにチャンスをもたらした。
No.8谷山隼大選手が決めた50:22キックは、2トライ目の起点となった。「(自分の位置を常に)マークされている声は耳に入っていた。だけど『こっちからやってやろう』という気持ちでプレーしていました」とは、なんとも頼もしい。
3トライ目のコンバージョンゴールを沈めたのは、23番・髙田賢臣選手。
先週行われた明治戦では中々プレイスキックが決まらず苦しい思いをしたが、この日は難しいシチュエーションで難しい角度から落ち着いて沈めた。
6点差か8点差かを分けるゴール成功の笛が吹かれると、仲間からも喜びの声があがる。
6点差。
逆転を射程圏内とすると、キックオフリスタートからボールを奪い返すべくピッチにいる選手たちは体を当て続けた。
ベンチに戻った肥田選手(写真中央)らも声を張り上げる
しかし早稲田にFW戦でうまく時間を使われ、ノーサイド。
今季対抗戦初勝利とはならなかった。
「課題は、自分たちがやりたいプレーをいかにゲームで出すか。明治戦・早稲田戦で見えたチグハグさ。やりたいプレーをやりきれない、出しきれない所を、リーダーやスタッフ、選手たちと共有して、整理して次戦に臨みたいと思います。(嶋崎監督)」
試合後目を潤ませたのは、今季の目標に「早稲田を喰う」を掲げていた16番・平石颯選手だった。
本気で勝ちを目指したからこその涙。
2015年以来となる対抗戦での早稲田戦白星は、来年に持ち越された。