國學院久我山
試合前、長くベンチ前で円陣を組んだ國學院久我山陣。
清水健伸キャプテンが、言葉を発する。
その清水キャプテンの右肩に、バインダーを持った左手を乗せるは土屋謙太郎監督。
チーム久我山、全員の気持ちを合わせた。
円陣を解くと、チームの要である10番・袖山遼平選手はそっと1人、涙をぬぐった。
「1年間ずっとチームを引っ張ってきてくれた(清水)健伸が、本当に熱い言葉を掛けてくれて。日本一のキャプテンだな、と思って。負けさせるわけにはいかない、と思ったら涙が出ました。」
去年、一昨年に比べても、厳しい練習をしてきた自信がある。絶対に勝てる。だから自信を持って、全力でやろう。
キャプテンの言葉は、チームメイトを奮い立たせた。
相手ボールキャリアの足を刈る、3番・清水キャプテンのタックル。
ブレイクダウンでターンオーバーし、そのまま突破を図ったのは6番・国谷赳斗選手。
体を当て、ジャッカルを決めれば、両手を突き上げガッツポーズを見せた。
勝つ、という気持ちが全面に現れた60分間。
独走トライを許しそうな所、逆サイドから全速力で駆け戻ったのは11番・鈴木彪馬選手だった。
僅か数センチ届かず、悔しさを滲ませる。
ペナルティの笛が吹かれると、接点でファイトしたFW陣のもとへ駆け寄り笑顔でハイタッチを交わした鈴木選手
随所でプレーは光った。
それでも「2人目の寄りが、報徳学園の方が早かった」と清水キャプテンが言う通り、何度もゴール前に迫れども、最後までスコアを動かすことはできなかった。
「悔いを残したくなかった。最後まで自分たちがやってきたこと、みんなで考えてきたサインを全力で出し切りたかった。その上でみんなを活かせるプレーをしたかったんですけど、どうしても前のめりになりすぎてしまって。イージーなエラーで相手ボールになってしまったことが、一番キツかったです。」
タクトを振るった袖山選手は、涙に暮れた。
ノーサイドの笛が鳴ると、清水キャプテンは膝をついた