60分の物語
秋田工業:紺白ジャージ、東福岡:グリーンジャージ
2回戦とは先発メンバーを5人入れ替え、挑んだ東福岡。
前半に3つのトライを奪うと、流れを掴んだ。
前半25分、2番・田中健太選手がトライ
しかし後半はペナルティが嵩み、陣地を大きく下げられる展開が続く。
「僕たちは『Green Wall(グリーンウォール)』を掲げています。だけど、オフサイドしてしまったら意味がない。」
厳しい表情で話したのは、5番・舛尾緑選手。
失点から始まったゲームの作り方含め「ベスト8以上のゲームにおける修正点」と認識する。
とはいえ、9日間で5試合を勝ち抜く必要のある、ここ花園。
2・3回戦で登録メンバー30人全員がピッチに立ったことは、東福岡にとって一つのアドバンテージだろう。
そしてその中で、様々なオプションを試すこともできた。
後半10分、10番・高本とわ選手が退くと、スタンドオフのポジションについたのは13番・永井大成選手。
10月の国体が終わってから本格的に東福岡でのスタンドオフ練習を始めたという永井選手が、花園で初めてのタクトを振るった。
「充分通用すると思います。」
普段はセンターでコンビを組む12番・西柊太郎選手は、太鼓判を押す。
「(高本)とわはゲームコントロール力やパスの精度に優れいている。永井はランや自分で勝負できるところが強み(西選手)」
抽選の結果、準々決勝の相手は九州対決・佐賀工業に決まった。
取材対応のため、抽選会をリアルタイムで見られなかった舛尾選手に抽選結果が伝えられると「ガチ?」と驚きを隠さない。
それもそのはず。佐賀工業の舛尾和キャプテンは、幼いころからともにラグビーをしてきた従兄弟なのだ。
春の選抜大会では、幻となった準決勝カード。
九州大会では、東福岡が33-10で勝利を収めているが、結末はいかに。
1月3日10時30分に、キックオフを迎える。
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組み合わせが決まると、秋田工業の面々は考えた。
東福岡と、何で勝負するのか。どこで勝つのか。
その結果「今まで培ってきたタックルでバトルしよう、ということで『フィジカルバトル』をこの試合のテーマに掲げました。」
10番・鈴木颯太キャプテンは、分かり易く、端的に説明した。
だが、相手はAシード。
勝負の1対1で止めきることができず、大外に振られ続けると「次第に集中力がなくなって崩壊してしまった」と振り返る。
先制のPGを決めたこと。チーム全員で戦えたこと。
「財産です。」
このチームで戦えて良かった、と涙に暮れた。
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