1月22日(日)、埼玉県・熊谷ラグビー場西第一多目的グラウンドで令和4年度 埼玉県高等学校ラグビーフットボール新人大会準々決勝・準々決勝が行われ、ベスト4が出揃った。
昨季の終了から息つく間もなく始まった新チームの熱戦4試合をレポートする。
第1試合:昌平×慶應志木
昌平 24 – 12 慶應志木
昌平
花園での激闘を終え、年が明けてからの新チームスタートとなった昌平。
今季主将に就いたのは、スタンドオフ・横山健人選手だ。
花園でも主力として活躍していた2年生の大森幹太選手(ウイング)と堀江凛選手(フランカー)は、それぞれセンターにポジションを移した。
その意図について後藤慶悟監督は「バックスで当てたい」と説明したが、この日は外への展開が優先されリズムを掴み切れなかった。「まずは当ててから展開しないと。それがないと、相手もすぐにスライドしてくる。最初から逃げています」と、昌平ラグビーとしての在り方を説いた。
新チームとなり2試合目の公式戦。横山キャプテンも同様に「課題が多く出た試合」と口火を切る。「1対1のディフェンスで負け、整備されているはずのアタックに対する全員の理解度が足りなかった」と振り返った。
「僕たちの強みはセンターに(堀江)凛がいること、両ウイングに足の速い選手がいること。取り切る力があるので、強いキャリーからボールを繋げたい。」
しかし実際には、抜けた後のサポート、リズムに乗れないテンポなど課題が露呈。
「このタイミングで悪い所が出てきて良かった。良い材料をもらいました。謙虚に、体をぶつける練習をします」と後藤監督。
次戦・準決勝の相手は、本庄第一。昨季の主力メンバーがこぞって残ったチームを相手に、思い描くラグビーができるか注目だ。
花園2回戦でもトライを取った1年生エース、山口廉太選手は変わらず14番
慶應志木
思い描いた通りの試合展開だった。
慶應志木が蹴り上げたキックオフボールを、昌平がノックオンオフサイド。敵陣5mでのマイボールラインアウトから得意のモールを押し込めば、4番・成川佳吾選手がグラウンディングした。
武器とするモールでの先制。
だからその後も、どのエリアでもどの体勢からでも、モールを狙った。
接点で負けず、ダウンボールにも飛びつく。ビックゲインを許しトライを与えそうな場面では、タックルで仕留めブレイクダウンでノットリリースザボールを奪った。
泥臭いラグビーは、その後も昌平のペースを乱す。
「素人チームなので、泥臭いことを一つひとつこなしていかないと花園は遠い。基礎を固めて、小さいことから積み上げています。」
そう話すは、慶應志木の新キャプテン・佐藤龍吾選手。日頃の練習が成果として表れた、と話す。
10点のビハインドで迎えた、後半10分過ぎ。一つの長い笛が吹かれた。
敵陣深くでのラインアウトからまたしてもモールを組み、FW戦でトライを狙っていた最中のことだった。
「ジャッカルされたのかなと思ったけど、そんなはずはなかった。」
どうやら、レフリーが5mラインをゴールラインと間違えトライの笛を吹いたらしい。勢いにのったアタック中だったからこそ、悔しい笛。レフリーボールとして再開された。
だが佐藤キャプテンは「人間なのでしょうがないこと」とラガーマンとして素直に受け入れた。「その後のマイボールスクラムから取り切れなかったのが自分たちの実力。細かい所を突き詰められるかが勝負を分ける」と、教訓にする。
試合終盤にもFW戦でトライを取り切り、昨季の埼玉王者から2トライを奪った慶應志木。
「完全に下馬評は昌平さんでしたが、去年花園に出たチーム相手にここまで出来たことは、このチームのこれからにとって大きな成果だと思います。」
今季掲げたスローガンは『狂う』。
「狂ったラグビーこそ、僕たちが目指すスタイル。周りから見て『こいつ狂ってんな』と思われるのが最高の状態です。そういうラグビーをしたい。」
若きタイガージャージの、狂う1年がスタートした。