5-6位決定戦:慶應志木×浦和
慶應志木 5 – 10 浦和
60分間のFW合戦。
慶應志木・佐藤龍吾キャプテンが「浦和戦は、FW同士の戦いが昔からの伝統。FW対FWの戦いを意識していました」と言えば、浦和・山本義明監督も「見てる方はつまらないだろうなって思いますが」と笑った。
それこそが浦和と慶應志木の「意地のぶつかり合い」。
徹底的に、両チームがFWにこだわった。
前半終了間際に浦和がトライを取ると、後半深い時間帯に慶應志木もチャンスはやってくる。
ゴール前では一貫してリモールにこだわり、モールサイドを走り抜いた慶應志木・佐藤キャプテンが同点のトライを決めた。
このまま同点で試合が終了するかと思われた後半ロスタイム。
試合を決めたのは、浦和だった。
相手のペナルティでPGを狙ったが外れ、続くペナルティではラインアウトモールを選択。
最後はやはり、FWにこだわって、FWが押し込んだ。
「お互いFWに自信があるチームだからこそ、そこは絶対負けられない。22メートルまで行けば、FWが絶対に取ってくれると思っていた。」
浦和・原田嗣海キャプテンは「取り切れてよかったです」と喜びを隠さない。
10-5。
浦和が、新人戦5位を勝ち取った。
コロナの影響を受け、今年で3年目。過去2年間、この時期は順位戦含め試合をやり切ることが何よりも難しかった。
そんな中で大会を完遂し、浦和は5位の座に。
「関東大会を狙える位置につけられた、今日の勝ちは大きいなと思います。2月・3月でチームを鍛えていきたい。」
山本監督は、明るく少し先の未来を見据えた。
「みんなでゲームプランを意志統一して戦えたことがよかった。今日のような厳しい試合でも勝ち切ることができた経験は、後々の関東予選でも絶対自信になってくる。(浦和・原田キャプテン)」
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慶應志木・佐藤キャプテンは、世田谷ラグビースクール出身。当初は高校でラグビーを続ける予定はなかったが、同校出身の父に「お前も志木高でラグビーやらないか」と背中を押され、入学・入部を決心した。
実は佐藤キャプテンの父も、竹井章監督の教え子。
親子2代で、竹井監督の下、タイガージャージに袖を通しているのだ。
近年埼玉県代表として花園に出場している学校の多くは、高校に入る前からラグビーをしてきた生徒が多くいる。
もちろん慶應志木にも佐藤キャプテンを始めとする経験者はいるが、マジョリティではない。
「僕たちは新チームになった時期が早かった。その分例年よりは、自分たちを見つめ直せたのかなと思う。素人チームだけど、なかなか形にはなってきてるのではないか。とにかく浦和を相手にここまで戦えたのは、1つの成果と言っていいのでは」と、今大会での収穫を口にした。
一方で喫緊の課題は、ゲームメイクを含めた適応力。
「練習でやったことをそのままやろうと、やらなくていいことをやってしまう局面があった。余裕が生まれれば、適応力も高まるはず。これからどれぐらいそれを練習で出せるか、ということにフォーカスしていきたいなと思います。」
関東予選はこれで第6シード。関東大会への出場権をかけた予選組は、3位の本庄第一と同じ山となる。
「次の一戦が、今年の行方を決めると思う。そこで勝ち切るためにも、他の高校よりも長い春休み期間を活用していきます。」
明確なプランを脳裏に描く。