3月22日(水)・26日(日)に、アイルランド・ダブリンにてU19アイルランド代表とテストマッチを戦う高校日本代表。
日本を出発する直前に行われた最終合宿で、3名の選手たちに意気込みを聞いた。
大川虎拓郎キャプテン
日本代表入りが伝えられた数日後、髙橋智也監督から電話があった。
「キャプテンをやってほしい。」
その時の気持ちを、正直に振り返る。
「小さい時からずっとキャプテン。ここでは自由にプレーしてみたい、という気持ちがなかったわけではありません。
だけどキャプテンを任せてもらったからには、責任を果たす必要があると思うんです。当然この舞台を目指して3年間頑張ってきた仲間もいます。一緒にセレクション来て、落ちた仲間もいます。
直近4年間、高校日本代表としての活動ができなかった先輩たちの想いも胸に、しっかりと挑みたいと思っています。」
このチームには、各校のキャプテンが集まる。個性豊かな面々を、大川キャプテンは果たしてどのように率いていくのだろうか。
「自分はやっぱり言葉で伝えるのが苦手。ラグビー偏差値も、他の選手たちに比べそこまで高くはありません。
だからそこは(伊藤)龍之介や(矢崎)由高、松沼寛治たちがハドルを組んだ時に言葉で伝えてくれるので、得意分野の彼らに任せようかな、と思っています。
その分、自分はキャプテンとしてプレーで努力する。目立たなくていいので、GPSの走行距離やタックル回数などの数値で示していきたいです。」
これから挑むテストマッチの相手は、U19アイルランド代表。正代表は今年のSix Nationsでグランドスラムを達成し優勝。U20のSix Nationsでも、アイルランド代表は首位を独走する。
そんな相手との対峙を前に、どのような心境かと問うと、楽しみの方が大きいという答えが返ってきた。
「9月にオーストラリアの選抜チームと戦ったことで、世界が広がりました。東福岡の前監督である谷崎先生が、よく『世界一を目指せ』とおっしゃっていたんです。でも正直、ワールドユースもなかった僕たち世代では、なにが世界一なのかという実感も沸かなかった。
だけどオーストラリアの選手たちと戦って、負けて、悔しかった。そしてその悔しさと引き換えに、楽しさや自分の知識が広がったことを実感できました。」
自分たちが想像している以上の強さや速さを体験できること、そこに立ち向かうことが楽しみなのだと笑った。
いよいよ再び、高校日本代表の時計の針を動き出す時がきた。
「自分たちが目指してきた景色があります。周りの方々に協力してもらいながら頑張ってきたので、日本で良い報告を待っていてください。」
人に頼ることができるキャプテン・大川虎拓郎。26人全員で、桜を咲かせに向かう。
伊藤龍之介バイスキャプテン
2月上旬に行われたセレクション合宿で好感触を掴んでいた伊藤龍之介選手。
実際に選出の報を耳にすると、選ばれて嬉しいという気持ちと、高いレベルでラグビーができる嬉しさ。両方の喜びの感情を抱いた。
高校日本代表入り決定後、大川キャプテン同様、髙橋監督から電話を受け取った。
「バイスキャプテンをしてほしい、ということでした。ぜひやらせてください、とお伝えしています。」
僕はどちらかというと色んな人とコミュニケーションを取ることができるタイプ。(キャプテンの大川)虎拓郎を支える、という意味で選ばれたのではないかなと思っています、と続けた。
國學院栃木高校を率いた頃に比べ、幾分言葉数少なくなったようにも感じるが、それは「みんなラグビースキルが高いから」だという。
「ラグビーしていて楽しいです。お互い切磋琢磨しながらやっていきたいと思います。」
バイスキャプテンとしてチームを下支え、司令塔としてチームを勝利に導く。
髙木城治選手
第48期の再激戦区は、おそらくスクラムハーフだろう。
今回桜のマークが与えられたのは、常翔学園高校のキャプテンを務めた田中景翔選手。そして、東福岡高校を優勝に導いた髙木城治選手だ。
今年度に入ってから何度か開催された候補合宿。しかしそこには、髙木選手の名はなかった。
夏、そのことについて話を聞くと「悔しかった」とかつては口にする。
だが、状況は変わる。花園で優勝すると、涙を流し燃え尽きた。
「(東福岡の)藤田監督に言われたんです。『候補に選ばれたからには、選ばれろ』って。」
覚悟は決まった。
気持ちを切り替えセレクションに挑むと、厳しき2枠に食い込む。
「自分は比較的自由に発言できる立場。だからこそ、キャプテンが言いづらいところや気付けなかった部分に、自分が気付けたらなと思っています。」
緊張するでもなく、あくまで普段通り。
掴み取った桜のマークを胸に、次なるステージへと向かう。