後半は、ペナルティがかさむ。
ゴール前まで攻め込まれた日本は、インゴールを背負いながら必死にディフェンスに入ったが、それでもフィジカルの強いアイルランドは強引にこじ開ける。
34-28。後半最初のスコアは、アイルランドに入った。
後半の中盤は、不確かな時間が続いた。
日本陣営にはペナルティがかさんだが、その理由を正しく理解できないまま時間は流れる。
フラストレーションをたまらせた選手たちがエキサイトすると、アイルランドにこの日2枚目のイエローカードが提示された。
そんなうっ憤を晴らすかのようなトライを決めたのは日本。
モールでトライを取り切り、全員で感情をバクハツさせた。
41-28、再びリードを13点に広げる。
後半も残り10分。
このままリードを守りたい日本だったが、変わらずペナルティを取られると自陣深くでクイックスタートから持ち込まれた。
41-35、6点差に縮まった。
それだけではない。そのゴールラインでの攻防で、今度は大川虎拓郎キャプテンがシンビンを受ける。
1人少ない状況下でも、日本は失点せず乗り越えた。
試合時間残り僅か。
グラウンド上に15人揃った所、敵陣22m付近で組んだスクラムは日本が大きく押し込んだが日本側にペナライズを受ける。
その後もスローフォワードの判定等で陣地を下げられると、最後は自陣深くでの相手ボールラインアウトから展開され、トライを決められてしまった。
盛り上がる、観客たち。
運命のコンバージョンキック、全員でチャージに走ったが、軌道は逸れない。
後半34分、ついに41-42と逆転を許した。
最後の望みをかけ、続くキックオフから敵陣深くに入り込んだが、オフサイドの笛を吹かれノーサイド。
ラスト1分まで勝っていたが故の、そしてアタックでもディフェンスでも組織力と低さで負けていなかったが故に、悔しい敗戦となった。
試合後は、涙にくれた選手たち。
大川キャプテンは言った。「不甲斐ないプレーをしてしまった自分の責任。」
SH髙木選手は返した。「みんなの責任だよ。」
詰めかけた観客への挨拶を終えると、髙橋智也監督は大川キャプテンのもとへと向かった。
監督と握手をした大川キャプテンは、それまでこらえていた涙を溢れさせた。