西武台
1回戦で正智深谷に勝利し、2回戦へと勝ち上がってきた西武台。
「正智深谷は、2代上の先輩たちが花園予選で敗れた相手。良い雰囲気で挑んだ結果、勝利することができました」と、10番・石川達也キャプテンは要因を語る。
だがシード校・慶應志木を相手にした2回戦は、苦しい時間が続いた。
トライは最後まで奪えなかった。それでも「FWで前に出られたこと、そしてトライは取れなかったけど外まで回し切ってあともう少しでトライ、というシチュエーションを作れたことは良かったと思います」と収穫を口にする。
今年、石川組が定めたスローガンがある。
『熊谷Aグラウンドで感謝を伝えるような試合をする』。
熊谷のAグラウンドに立つことが目標なのではない。
「僕たちは、先輩方をはじめとするこれまでお世話になった方々に感謝の気持ちを伝えたいから、Aグラウンドに立ちたいと思っています。(石川キャプテン)」
確固たる意志が込められていた。
お世話になった人たちに、目標の舞台で感謝を伝えるゲームをするために。
西武台の熱い夏が始まる。
慶應志木
慶應志木のゲームメーカー・10番を背負ったのは、入学して1か月にも満たない1年生・浅野優心選手。
視野の広さと自らの意志を伝えるコミュニケーション力、レフリーとの対話など、聞かなければ1年生とは分からない姿は圧巻だった。
後半終盤に蹴られたキックパスも秀逸。惜しくもトライには一歩届かなかったが、裏のスペースを狙い左奥に蹴り込んだ
浅野選手がラグビーを始めたのは、幼稚園生の頃。「4・5歳です」と正確な年齢を覚えていないほど、当たり前のようにラグビーボールに触れた。
我孫子ラグビースクールを経て、栃木へ移り住むと、宇都宮ラグビースクールでラグビーに打ち込んだ。中学時代は、オール栃木の主将としても活躍する。
高校ではラグビーと勉強を両立できる学校に、と目を付けたのが慶應志木。宇都宮ラグビースクール出身の先輩・石垣慎之介選手(現・慶應義塾大学2年)が通っていたことも好材料だった。
4月からは、宇都宮から新幹線通学する毎日を送っている。
慶應志木は伝統的にフォワードのチーム。モールを最大の武器とするが、浅野選手が新鮮な風をもたらすことでボールも動くようになった。
6番・佐藤龍吾キャプテンは笑った。「FWとしては本当に楽になりました。今まではずっとFWだったんで」と、存在の大きさを口にする。
迎える準々決勝の相手は本庄第一。
「今日の試合は、ボールを動かした時に無駄な動きが多かった。来週は無駄な動きをしないよう、近場と外に振る所のメリハリをつけたい」と竹井章監督は話す。
浅野選手も「力は互角だと思っています。決め手は決定力になると思う。今日決め切れなかった連携を修正します」と次戦を見据えた。
進化する慶應志木に、注目だ。
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