長野県上田市菅平高原・サニアパークにて行われている、KOBELCO CUP 2023 第19回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会。
大会1日目となる7月28日(金)にはU18チームの予選リーグが行われ、関東ブロックは予選Bグループ1位で決勝最上位リーグへの進出を決めた。
試合中、笑顔の絶えないU18関東ブロック代表の選手たち。
ブレイクダウンでペナルティを取るとハイタッチをして喜び、トライを取れば全力で駆けつけ抱き着いた。
「自分が目立つことよりも、まずはチームを第一に思ってプレーしています。だから自分のプレーがチームのためになったら、すごく嬉しくて。」
笑顔の理由をそう説明したのは、タイトヘッドプロップの鈴木心恩キャプテン(公文国際高校3年)。
北海道ブロックとの試合では1トライを決め、仲間の祝福を受けた。
U18関東ブロックは『圧倒的なディフェンス』をスローガンに掲げ、予選リーグでは無失点。
試合中、選手たちからは「圧倒的なディフェンスをしよう」。
試合前には監督から「やっぱり俺たちはディフェンスから始まるんだ」との声が飛んだ。
その一方で、ボールを奪い返せば一気に仕掛けるアタックも魅力的。
相手ボールスクラムをまくると、ボールを持ち出したのはSH依田泰門選手(桐生清桜高校3年)。
サイドアタックから50m超の独走トライを奪った。
ほとんどの選手にとって、これが初めての全国大会。
感想を問うと、鈴木キャプテンは「貴重ですよね」と切り出した。
「楽しみでもあり、貴重でもあり。高校3年生なので、こういう経験ができるのもおそらく最後です。もしコロナがなければ、もっと前からみんなと一緒にラグビーが出来たかもしれないけど、このメンバーでがっつりプレーできるのはこれが最後。だから、惜しい、です。」
『惜しい』が、素直な感情だった。
U18の各ブロックには、コベルコ神戸スティーラーズの選手たちが1名ずつ派遣されている。
大会の開催目的である「ラグビーフットボールの普及と競技力の向上を目指す」ことに貢献すべく、参加チームへ指導を行うのだ。
U18関東ブロックには、フルバックの杉本崇馬選手が帯同中。
鈴木キャプテンはプロップなためポジションは異なるが、「試合コンディションの作り方を相談したい」と言った。
「リーグワンの選手たちは、1週間おきに試合をするじゃないですか。僕もこないだまで大会が重なり1週間おきに試合をしていたのですが、毎試合最後の方はしんどくなっちゃって。だから、どうやってコンディションを作っているのか聞いてみたいと思っています。」
トップレベルの選手からアドバイスを受けられる機会。
ふだんは15人揃わず活動するU18合同チームの選手たちだからこそ、必要な場なのだ。
監督を務める飯塚淳平氏(西武文理高校)は言った。
「この場に選ばれた選手たちは、自分たちの学校だけでは15人制ラグビーができない子たち。関東地方すべての合同チームで頑張っている生徒と、その裏で奔走する先生たちのために俺たちはここにいるんだ、と選手たちには伝えました。」
関東にも合同チームが増えてきた。飯塚監督が勤める埼玉県内でも、かつては単独チームだった学校が合同チームになるケースも出てきている。
「全国制覇をすれば、関東地方の合同チームが報われる。彼らに『俺たちの地区が一番強いんだ』って胸を張ってもらえます。」
だから、自分たちだけではなく、関東のすべての合同チームのために優勝を狙いたい。そう力強く紡いだ。
大会最終日は東海ブロック、そして九州ブロックと「日本一の合同チーム」を目指し全員で戦う。