<U17・関東ブロック>やり切った『MAX OUT』|KOBELCO CUP 2023 第19回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会

7月28日(金)から30日(日)まで、長野県上田市菅平高原・サニアパークにて行われた、KOBELCO CUP 2023 第19回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会。

2019年以来の優勝を目指したU17関東ブロック代表は、決勝リーグでU17近畿ブロックに1点差で敗れ、2位で大会を終えた。

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決勝リーグ カップ

vs U17九州ブロック

大会最終日、幸先の良い出足を見せたのはU17関東ブロックだった。

敵陣5mでのマイボールラインアウトを獲得すると、そのままモールを形成。HO新井靖憲選手(深谷高校)がサイドを抜け出せば、押し込んだ。

「緊張していたけど、トライを取って吹っ切ることができた。流れに乗れるトライでした。(新井選手)」

勢いを掴む、ファーストアタックでのトライだった。

小学校時代には新井選手と同じラグビースクールでプレーした神尾樹凛選手(國學院栃木高校)も「めちゃめちゃ上手くなっていた」と称賛する。

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続く2トライ目は、前半12分。

ロングキックで陣地を稼ぐと、一気に敵陣22m内へ。スクラム、ラインアウトでFWがファイトしながら機をうかがうえば、モールを組む。

中央に寄りながらFW戦へ移行すると、最後は走り込んだCTB齋藤航選手(國學院久我山高校)に託し、トライが決まる。

トライを決めたのはセンター。だが、そこまでの道筋を作ったのはFW。

だからバックスの選手たちからは「FWありがと!」「FWサンキュー!」との声が飛んだ。

前半を12点のリードで折り返すと、後半の入りで勝負に出たU17関東ブロック。

左サイドでアタックを仕掛ければ、ディフェンスを崩す。FB古賀龍人選手(桐蔭学園高校)、SO小林祐貴選手(慶應義塾高校)、LO西野誠一朗選手(桐蔭学園高校)らがそれぞれ前に出ながらボールを繋げば、最後はSH後藤快斗選手(桐蔭学園高校)が持ち込んだ。

19-0、ゲームを決めた。

しかしその後、U17九州ブロックの猛攻を受ける。自陣深くへと追い込まれる場面が続いた。

だから試合一番の見せ場は、自陣インゴールを背負ってのディフェンスで訪れる。

自陣5mでの相手ボールラインアウト。

スロワーがボールを投げ入れると、軌道はジャンパーを越えた。

そこに待ち構えていたのは、6番・新里堅志選手(桐蔭学園高校)。

相手がボールを取ったところ、待っていましたとばかりにタックルへ入った。そしてその次のプレーで、ジャッカルに成功する。

この一連のプレーは、偶然起きたものではなかった。

U17九州ブロックが1日目に戦った試合映像を、桐蔭学園の第3列の選手たちで独自に分析。

すると「ラインアウトでは前でプレッシャーを掛ければ、ミスボールを誘えるんじゃないか(新里選手)」という結論を見出した。

そこで新里選手が最後尾に控え、ギャップを取り全体を見渡しながら仲間とコミュニケーションを取り、オーバーボールが来た時のために早い出足に備えることにする。

「相手がミスをした瞬間に、下に入り込む。相手の3番の選手が最後列に控えていたので、競って取るよりも、先に自分が下に入って誰かを待った方が良いかな、と思って。」

傾向を知り、対策を練り、準備する。そして仲間を信じる。

わずか数秒の間に、ラグビーの神髄が凝縮された。

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セレクションマッチの時から、人一倍ポジティブな声を発し続けていた新里選手。

本戦でも、ムードメーカー役を担った。

「自分はフランカー。キツい時こそ、3列から前列に声を掛けていくことが自分の役割だと思っています。」

ゲームの盛り上げとコミュニケーション量。もちろん、運動量も。フランカーとして、必要なことを必要な限りに体現する。

そんな新里選手について、深沢真一郎監督(笛吹高校)は「プレーは激しくて、良いキャラクター。面白い選手です」と表現した。

そして、桐蔭学園の選手たちに感謝する。

「今年に限ったことではないですが、桐蔭学園の選手たちを前にすると、一歩引いてしまう他校の選手も多いと思うんです。だけど、彼らがそんな(フランクで面白い)選手たちなので。今年のチームがどんどんまとまっていったのは、彼ら桐蔭学園の選手たちのキャラクターのおかげじゃないかな、と思っています。」

プレーで頼りになり、オフザフィールドではムードメーカーになる。

心強い選手たちだった。

新里選手自身も、努めるべき役目についてしっかりと理解していた。

「キャプテンが(同じ桐蔭学園の申)驥世で、僕の仕事は盛り上げ役だと最初に分かった。だからスタッフとも話しながらチームを作りました。」

自身が一番、スタッフと話すよう努めたのだという。

「チームと選手を繋げる、ということを自分がやらないとワンチームになれないな、と思って。」

全体を見渡し、チームを作り上げる一翼を担った。

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