求められたのはファイトする気持ち。エディー・ジョーンズHCが視察する中、高校日本代表セレクションマッチが行われる

Pick Up Players

【FL/No.8】城 央祐(桐蔭学園)

「一つ一つの全てがセレクション。緊迫した空気がすごく楽しい」と話すは、先の花園で全国優勝を果たした桐蔭学園のキャプテン・城央祐選手だ。
コロナの影響により、年代別日本代表に関わる最終セレクションは未経験。今季行ってきたTID合宿とは、また違った空気も感じている。
「ピリついてる感じが、少しある」と緊張感を口にした。
城選手自身は花園期間中に肩を負傷し、この日のセレクションマッチへの出場時間は最初の10分間に留まった。「あんまりアピールができていない」と本人は言うが、ボールを持てば必ず前に出る存在感は抜群。密度の濃さでは断トツであった。
この日視察に訪れた男子15人制日本代表のエディー・ジョーンズHCから、言われた言葉がある。
『日本代表の選手たちは頑張る。全部のことを100%でやる。どれだけゲインされても戻ってくるし、その後も全力でタックルに入る。でも今日はその心があまり見えなかった。』
悔しさが残った。
「最後も歩いていたし、最後の最後まで戦う気持ち、ファイトする気持ちがなかった、ということでした。確かに、体力的にもメンタル的にもあまり最後まで高い基準を保つことはできていなかったかなと思います。」
優勝を果たした直後、次の目標は高校日本代表入りと話していた城選手。
日本代表基準でのプレーが求められる世界へと階段を上がった。
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【LO】雨宮 巧弥(山梨学院)

「代表権をしっかり獲得して、イタリア代表に挑戦したい」と話すは、今年花園初出場を決めた山梨学院のロック・雨宮巧弥選手だ。

世代トップの選手たちと時間を過ごし、刺激を受けた3日間。同時に、自身の課題も明確になった。

「フィジカルとスピード。当たり負けしないフィジカルをつけて、エディーさんの求める超速ラグビーができるような存在になりたい」と目を輝かせる。

振り返れば3年前、高校に入学した時には「山梨県王者として君臨し続けていた日川高校に勝って花園に出場する」が目標だった。

だがその夢を叶えれば、その先を『もっと』と求めたくなった。

「正直、今回のセレクション合宿に呼ばれると思っていなかったんです。花園も1回戦で負けてしまったし、良い選手がたくさんいるので。それでもこの場に呼んで頂けて『自分のやってきたことは間違ってなかった』と感じることができました。今は、高校日本代表になって、そして将来の日本代表も目指していきたいです。」

学校の仲間からは「絶対に高校ジャパンになれよ」と送り出された。週末に日川高校との新人戦決勝を控えた後輩たちには「頑張れよ」と伝えた。

挑む場所は違えども、ともに挑戦する背中を押しあえる仲間がいる。だから、新たなステージでも恐れずチャレンジができる。

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【FL/No.8】福田大和(中大春日丘)

高校2年・3年の半年ずつをニュージーランドのオークランドで過ごした。

高校3年次には、セントピーターズカレッジのファーストフィフティーンに名を連ね続ける。

身長188cm、体重99kgが繰り出すフィジカルとスキルは、同年代のニュージーランド人を相手にも通用することを既に証明している。

ホームステイ先は、高校の2軍監督の家だった。トンガにルーツを持つ家庭で、もちろんラグビーへの理解も深い。

家には炊飯器があり、別で食事を用意してもらうこともあったという。

「いっぱいご飯たべさせてもらいました」と笑った。

ニュージーランドでは、ホーム&アウェー方式で試合が行われる。

会場は、学校のグラウンド。ホームゲームの時には学校の友人たちが来て、声援を送ってくれた。一つのビッグプレーで、間近に大きな歓声が聞こえるその環境が、日本と大きく異なった。

「素敵だなと思いました。」

プレーもさることながら福田選手最大の魅力は、角のない、物腰柔らかな、だけど強い意志を秘める立ち振る舞いにある。

中学時代はバイスキャプテン。高校ではキャプテン。

ニュージーランドでコミュニケーションの術を学んだが、もとの性格も大きく影響していると自らは分析する。

「お母さんが大学のキャリアセンターに勤めていました。昔からお母さんに相談することも多く、(コミュニケーションの仕方は)母から学んだ所が大きいと思います。」

母から受け継いだ包容力が、ナチュラルなキャプテンシーのゆえんだ。

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【SH】井上達木(佐賀工業)

「高校では2回、海外遠征を経験させてもらいました。だからこそ、こういう所でリーダーシップを発揮しなければならないですし、選ばれなきゃいけないと思っています。」

そう話したのは、高校2年・3年と2年続けてU18男子セブンズ・デベロップメント・スコッドでのフィジー遠征を経験した井上達木選手だ。

「今日のセレクションマッチでは、何回も抜けた場面がありました。でも周りを探してしまって。もっと自分で行けたな、と今振り返れば思います。試合の後、エディーさんから総括を頂いた時に、自分何回も目が合ったんです。グーで胸も叩かれました。自分のプレーがもっと出せたんじゃないか、という合図だったと受け取りました。」

今年の花園を前に、大事な言葉を教わった。

『The Next One』。自分の最高傑作は次回作だ、という名優チャールズ・チャップリンの言葉である。

「たとえ今終えた試合で良いプレーができたとしても、次の試合ではもっと、はるかに良いプレーができると考えられるようになりました。」

自分のベストプレーは、まだできていない。だから次に進める。

もっと最高のプレーができると信じるから、まだまだ頑張れる。

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【SO】服部亮太(佐賀工業)

「イタリアには絶対行きたい。悔いの残らないように、このセレクション合宿で全力を出し切りたい」と話すは、服部亮太選手。

セレクションマッチでは外へのキックパスを蹴り上げトライを演出し、またフルバックとしてプレーすれば、自身がスコアラーとなりトライも奪った。

2年次から佐賀工業の10番を背負い続けた服部選手。

まだ線が細く、あくまでもいち10番としてのプレーに徹していたのは2年の春。

だが最上級生となった今年、フィジカルとスピードがついたことで自分に自信が持てるようになると、プレーが変わった。

グラウンドの中での存在感も、一気に華やぎを増す。自信一つで才能が大きく開花する、それが高校生なのだと証明した。

だが、まだまだ道半ば。

「日本代表とは、ランで1本抜ける、1つのプレーでフィジカルの強さを発揮する、と単発で100%のプレーを見せるのではなく、アベレージの高い選手が求められてくる世界だと思います。安定を継続できる選手が代表に選ばれるのかな、と今は考えています。」

だから自身のプレーの平均点を上げたい、と先を見据えた。

胸に刻むは『不撓不屈』。佐賀工業の一丁目一番地である。

「3年間刻み込まれたので、死ぬまで忘れることはないと思います。どんなに追い込まれても『不撓不屈』と思っておけばなんとかなる、という考えになりました」と笑った。

「先生たちに刻み込んでもらいました。感謝しています。」

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【WTB/FB】小野澤謙真(静岡聖光学院)

「父(小野澤宏時氏)が選手時代に監督だったのがエディーさん。僕がオーストラリアに留学している時には、僕の所属してたチームに一度練習を指導しに来てくれたこともあった」と、現日本代表HCとの深い関わりを話したのは、小野澤謙真選手だ。
この日、エディー・ジョーンズ氏が見守る中で1トライ。ビッグゲインも見せた。
「こういうメンバーの中で、自分のプレーができたことは自信になりました。レベルの高い選手たちが揃う中で、強みであるランニングを発揮できたことが良かったです。」
自身の今の目標は、高校日本代表に入ること。そして、イタリア代表を倒す準備をすること。
また個人としては大学、その先を考えて体づくりに勤しみ、ランニングプレイヤーとして様々な選手から吸収していきたい、と朗らかに話した。
目標とする選手像を問えば、『お父さん』と淀みなく返す。
「プレーだとお父さん、やっぱりいいなって思います。 一番の目標です。最近はウイングがやりたいなと思っていて。お父さんは、キックとパスができないんですけど(笑)自分はキックとパスができて、お父さんみたいなランニングができればと思っています。」
18歳。まだまだ年頃。にも関わらず、目標とする選手に父の名を挙げられるのは、心から尊敬している証だろう。
「『超速ラグビー』では、速い選手、そして頭の回転が速い選手が求められています。ウイングとしてもっとコミュニケーションを取らなきゃいけないですし、もっと自分のスピードも上げて世界で戦えるようになりたいです。」
定まった目標に向かって、これからは突き進むのみ。
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【WTB/FB】宮里快一(名護)

ジャンパーのテープを巻くフルバック。ボールがある所に顔を出す、フルバック。

宮里快一選手は花園予選が始まるおよそ3週間前から、スーパーエースのポジションを確立した。

花園ではベスト16。見事、10年ぶりとなる年越しを果たした。

「沖縄県内ではありえない強度での試合を、中1日で繰り返しました。自分のメンタルも、フィジカルも、通用するところとしないところを理解することができた。武器であるランニングスピードや左足のロングキックをうまく利用できたことが、とても良い収穫となりました。」

手応えを得て花園を終えると、高校日本代表最後のセレクション合宿へ呼ばれる。

「こんなにレベルの高い所に今自分がいることに、まだびっくりはしています。でもここに来て満足するだけではなく、26人の遠征メンバーに食い込んでいけるようなプレーをしてアピールしたい」と意気込んだ。

花園が証明してくれたことがある。

落ち着いてプレーをすれば、自分のプレーが出せるということ。

「花園ではリラックスできたからこそ、あの結果が出たと思っています。そうしたら良い判断もついてくる。その経験を活かしていきたいです。」

今後はあくまでも『通常のフルバック』としてのポジションにまい進します、と笑顔を見せた。

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