2月3日(土)、埼玉県・熊谷ラグビー場Bグラウンドで令和5年度 埼玉県高等学校ラグビーフットボール新人大会決勝が行われ、昌平が64-0で川越東を下し初優勝を飾った。
昌平は、3月に行われる第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会へ出場する。
【決勝】川越東×昌平
川越東 0 – 64 昌平
昨季まではウイング。今季からアウトサイドセンターを務める山口廉太選手は、この日最多となる4トライ。ボールを持てば力強い推進力を誇った
川越東
「お前ら、まだやれる!」
「死ぬ気でやるしかない!」
トライを取られる度に声を張り上げたのは、この日背番号1をつけた鈴木一ノ心キャプテン。
「めちゃめちゃ悔しい。この悔しさをしっかり受け止めたい」と、試合後に言葉を絞り出した。
試合前の雰囲気からして、普段通りの川越東ではなかった。
「ウォーミングアップの時から声が出なくて。変な雰囲気になっていました。たぶん緊張だったと思います。最初のプレーから、昌平さんに対して受けのタックルをしてしまいました。」
最上級生として迎える初めてのファイナルは、いつも通りであることがいかに難しいか、を痛感した時間でもあった。
そんな選手たちを目にした望月雅之監督も「フィジカルで3か月分ぐらいの差を感じた。伸びしろしかない。自分たちに矢印を向けていきたい」と前を見据える。
それでも、上位2校に与えられる関東新人大会の出場権を獲得できたことはこの上なく大きい。
翌週は修学旅行のため、1日しか全体練習の時間は取れないが「個人の気持ち、マインドにフォーカスして挑みたい(鈴木キャプテン)」と次の戦いへ狙いを定めた。
昌平
初めて手にした新人戦のトロフィー。
「率直に嬉しい」とSH白鳥蓮キャプテンは笑顔を見せた。
「正直、これだけの点差は想像していませんでした。でも試合をするうちにどんどん前に出られたことが大きかった。一人ひとりの当たりで勝てたので、テンポに乗れたしエリアも取ることがでた。自分たちのアタックができました」と、64点差の理由を説明した。
原動力の源は、1年前まで遡る。
県内のタイトル戦で全て2位。シルバーコレクターに甘んじた。
船戸彰監督は「(川越東に)4冠を獲られたことが大きかった。近年なかなか4冠はなかったので『簡単にいっちゃうんだ』と思って。勝ちたい、という気持ちが選手たちに出てきている。生徒たちと同じ方向を向けていると感じています。」
御代田誠部長も「水曜日の練習では『これは絶対に負けないな』という練習をすることができた」と自信をのぞかせた。
FWで堅実に前に出て、バックスが自在にボールを動かす今年の昌平ラグビー。
「花園予選で敗れてから、勝利に対する貪欲さやプレーの丁寧さ、一つひとつのプレーに対する理由付けを行ってきました。今日は試合中にも『相手のディフェンスがこう動いているから、こういうアタックをしよう』とコミュニケーションを取ることができた」と白鳥キャプテンはチームの成長を実感する。
「関東新人大会、そして全国選抜大会にむけて課題を克服します。」
まずは開催権枠で全国選抜大会への出場権を確実にした昌平。次なるは関東新人大会で6位以内に入り、全国選抜大会への自力出場を決めたい。
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フルバックを務めるのは、1年生の宮本和弥選手。
幼稚園の年中でラグビーを始め、常総ジュニアラグビーフットボールクラブから南茨城ラグビースクールへと進んだ。
身長167㎝、体重69㎏。グラウンド上では、無論最軽量の部類に入る。
昨季は2学年上の選手を相手にしたこともあり、フィジカルで敵わなかった。
だがディフェンスで目を引くプレーをいくつも見せ、大きなインパクトを残す。徐々にチームに慣れた今季、自分の強みを生かせるスピード、そしてずらすプレー後のヒットに自信を持てるようになり、今大会アタックでも存在感を発揮した。
「中学生まではアタックの方が得意で、ディフェンスはそこまで。高校に入ってから、だんだんディフェンス力が増しました」と自認する。
「関東新人大会では、いまの自分がどれだけ通用するか試したい。関東ベスト4に入ることが目標です」と負けん気をのぞかせた。
目指す選手像は「(13番の山口)廉太さん。良い体してるな、と思って」と、身近な憧れを口にする