桐蔭学園
「相手の8番(ロケティ・ブルースネオル選手)が留学生。彼がどういう状況だと走れて、どういう状況だと走れないのか」を前日に対策したという藤原秀之監督。
申キャプテンはその内容について、こう説明する。
「1人目がタックルに入って、2人目がダブルタックル。それでも倒れなかった時は、上からパスを放られないように、その隣にいる3人目が上腕をカバーする。」
対策は功を奏し、ビッグゲインを許さなかった。
こだわったのは『自分たち』だった。
1回戦・長崎北陽台戦前のミーティングでは、相手の対策に意識を持っていってしまい、結果「悪い試合をしてしまった」と申キャプテンは振り返る。
だから2回戦・東海大大阪仰星戦の前日には『自分たちの軸』について話し合う時間を設けた。
2時間の話し合いを経て出た答えは「早いテンポで、速いセットで、相手の先手を取る。そして速いスピードで、速いラグビーをすること。」
自分たちの『軸』が、決まった。
もちろんまだ完璧ではないが、「1・2回戦よりは、準々決勝で自分たちのラグビーが出たと思う。次につながる勝ち」と自信をのぞかせた。
藤原監督も「関東新人大会の時よりは少し良くなったかな」と言葉を続ける。
これで8大会連続となるベスト4入り。
初戦で長崎北陽台、2回戦で東海大大阪仰星を倒し「激戦区を勝ち抜いて(藤原監督)」のベスト4に、申キャプテンも喜びを表す。
「これまでは昨年のチームの力でここまで来ていました。でもベスト4まで行くことができたら、自分たちの代だと自信を持って言える、と金子コーチから昨日聞いて。それがモチベーションで、僕も気合いが入っていました。勝てて嬉しいです。」
準決勝は、これまで何度も名勝負を繰り広げてきた『桐蔭対決』。
大会屈指のハーフ団を前に、どれだけ自らを律することができるか。
目黒学院
自信と課題、その両方を手にした選抜大会。
初戦で東福岡を破り、2回戦でも天理に勝ち切ったベスト8は、誇り高い。
「僕が監督になってから、全国での準々決勝はまだ見ぬ世界でした。これからは選手たちが『またあの舞台に立ちたい』と現実的な思いが強くなってくれることが大きいと思います。」
そう話すは、竹内圭介監督だ。
1年生ながら、FWリーダーを務めるロケティ・ブルースネオル選手。
この日は相手の『ロケティ対策』に封じ込まれる。
「桐蔭学園は僕の全てを知っていました。きっと僕のゲームを見て、僕がどういうステップを踏むか、どうパスを放るかも調べたんだと思います。スクラム前の動きもそうです。だから少し動きを変えてみたのですが、遅かったです。」
そんなブルースネオル選手について「非常によく喋るようになった。ミスにも笑顔でサポートできるようになった」と竹内監督が評すれば、ブルースネオル選手自身も「ほかのチームは本当に強かった。もっともっと練習が必要だと学んだし、もっともっと強い相手を意識した練習が大切だと思いました」と、春の学びを語った。
他のチームが強い、ということを理解した。
同時に、まだまだ自分たちが頑張れることも知った。
「試合後、チームの誰も悲しみ落ち込んでいなかったんです。だから僕は目黒学院が好き。みんな、いつだって落ち込まない。」
11年ぶりの選抜大会でベスト8を成し遂げた目黒学院は、果たしてどのような1年間の成長曲線を描いていくのだろうか。
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